今回は、 P/Lのグラフ化で従業員に「コスト意識」を持たせる方法を見ていきます。※本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏の著書、『経営者の財務力を一気にアップさせる本〔補訂版〕』(東峰書房)の中から一部を抜粋し、図を徹底活用した貸借対照表・損益計算書の見方をご紹介します。

自社の「儲け」を把握していない従業員たち

従業員教育をさせていただく際、“わが社の儲けはどれくらいあると思いますか?”という質問をすることがあります。

 

入社10年以内の社員の場合、まあ大体“?????”となります。で、“じゃあ、年商はどのくらいでしょうか?”と尋ねます。それでも半分以上の方が、“??????”となります。

 

目の前の業務には専念するものの、会社全体の数字となると、知らない従業員がほとんどですね。なので、よく、面積図を描いて説明します。とりわけ、下にあるような面積図(図表1)です。

 

【図表1  P/L(損益計算書)をグラフにしてみる】

 

一番左側が売上高、つまり、年商です。売上高が、その右隣のグラフへ、原価と売上総利益に分かれます。

 

そして、売上総利益が、販売費及び一般管理費と営業利益に分かれます。

 

さらに、経常利益、税引前利益、純利益、と続きます。まずは、売上をベースとした、収益構造を理解してもらいます。

 

左の面積図では、原価が30%、売上総利益が70%、経常利益は10%、です。

 

従業員教育の場合、それぞれの企業の大枠の実態に合わせて、説明します。すると、税前利益や純利益はともかく、経常利益がどれくらいか、知らない従業員がほとんどなのです。

 

この面積図で説明すると、ほとんどの従業員から、

 

“利益って、出ないものなんですね”

“もっと儲かっていると思っていました”

 

などという意見が出てきます。

収益構造を理解すれば「コスト削減」の重要性もわかる

P/Lは、いわば自社の収益体質です。その収益体質を知らない人たちに、“コスト削減せよ!”と声を上げても、なかなか響きません。

 

自社の収益体質をわかったうえで、

 

“もっと売上総利益を増やすにはどうすればよいか〞

“もっと営業利益を増やすにはどうすればよいか”

“利益を減らさずにもっと給料を増やすにはどうすればよいか”

 

などを考えさせるのです。

 

そうして初めて、“コスト削減!”の重要性がわかるのです。

 

経営者や幹部人材には、B/S面積グラフで財務体質を理解していただき、中堅クラスまでの従業員には、P/Lの面積図を理解してもらいたいのです。

 

一度、従業員に、図のような面積図を使って、自社の収益体質を確認してみてください。

 

多くの社員は、経常利益が売上高に対してどれくらいなのかを知りません。

自社の収益構造を認識させよう!

本連載は、2015年4月30日刊行の書籍『経営者の財務力を一気にアップさせる本〔補訂版〕』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

経営者の財務力を一気に アップさせる本〔補訂版〕

経営者の財務力を一気に アップさせる本〔補訂版〕

古山 喜章,井上 和弘

東峰書房

数字が苦手な人にこそ読んで欲しい! 本書では、会社経営にまつわる数字を読み解き財務力をアップさせる方法を解説します。数字が苦手だからこそとことんわかりやすく理解する方法を見出した筆者。そのノウハウをお伝えし、経…

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