孤独は楽しめるけど、孤立は楽しめない
■人は選り好みしても構わない
人が受けるストレスでいちばん多いのは、人間関係です。
いつも元気な女性編集者と会ったとき、彼女はげっそりやつれていました。仕事が忙しいのかと思ったら、ママ友とランチをしたら、夫や子の自慢話やハワイ旅行の計画の話等、自分の生活とはかけ離れていて、愛想笑いに疲れたという話でした。価値観のかけ離れた人たちと話すのは疲れます。
こういう人間関係を、あなたもひとつやふたつ持っていませんか。
生活も趣味も違う、話も合わないけれど友達を続けている。あなたが聞き役になって疲れてしまう。あの会合に出ると、気持ちが落ち込んでくる。でも、抜けられないと思って、声が掛かれば出かけます。
「断ればいいでしょう」と言えば、「私は友達がいないし、高齢になったら人との交流が大事だと先生も言っているでしょう」と返されます。
交流は大事なのですが、私は、嫌な人、ストレスになる人とは我慢してつき合うな、とも言っています。
若いとき、働いているときは、気の合わない人、苦手な人ともつき合わないといけない場合は多いでしょう。職場や子どもの学校関係など、波風を立てないようにあなたは泳いできました。しかし、高齢者になってまで、その習性が抜けない人がいます。
はっきり言いますと、自分を落ち込ませる相手とはつき合わないほうが精神的によいのです。
それができるのは高齢者の特権です。人は選り好みしていきましょう。面白くもない話につき合っている時間はもったいないです。断って機嫌が悪くなる相手はそれまでの人なのです。
自分を元気にする人、尊敬できる人とつき合ってこそ、エネルギーが充電できます。
「そんな友達はいない」と言う方もいますが、それは狭い範囲で人づき合いを見たときです。一度ひとりになり、自分の興味や関心は何かを考え、本を読むなり習い事をするなりしてみませんか。
新しい人間関係は高齢になっても生まれます。友達でなくてもいいのです。その場その場で知らない人とでも言葉を交わすことが大事です。
ちょっと知っている人同士の世間話というのが、コロナ感染もあって少なくなってきました。散歩の途中で「公園の桜は咲いていますか?」と聞けば、「公園の池のまわりは陽当たりがよくて咲いていますよ」と答えてくれるかもしれません。
スーパーやコンビニでは、お金の受け渡しに言葉はいりません。すごくラクである半面、さびしさも感じます。
孤独は大事に楽しむものですが、孤立はいけません。
人間関係を整理しながらも、孤立しないように自分の世界を広げていく。そんな方法を考えていきましょう。
和田 秀樹
和田秀樹こころと体のクリニック 院長
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