受講料40万円のセミナーを受講したが…
相談者のmako(仮名)さんは、受講料40万円のセミナーを受講しましたが、事前に入手していた情報とは異なり、無料で手に入るような情報の薄い内容でした。
インターネット上では、起業の心構えのような内容である旨の告知がされていました。ところが、実際にはFXの基本情報、FXアプリの登録・エントリー方法といった内容で、FX会社が初心者向けに提供している情報となんら変わらないものでした。
深く後悔したmakoさんは、主催の企業に対し、返金を要求することを検討しています。ただ、気になっていることもあります。
makoさんは、事前に十分に確認しなかったことを悔いていますが、講座受講料に見合わない内容に、強い憤りを感じています。
そこで、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の4点について相談しました。
1.全額または一部でも返金は可能なのか。
2.一般的に無料で手に入る情報を教えることは、違法でないのか。
3.不当に高額であることを証明する証拠がないが、法的手段を取れるのか。
4.不当表示防止法のような法律で罪を問える可能性はあるのか。
高額セミナー返金の可能性は
高額セミナーで、タダ同然の情報しか提供されなかったにも関わらず高額なセミナー代金や受講料を支払ってしまったといった場合には、状況や内容によっては、全額または一部の返金ができる可能性があります。
法令違反の有無、契約取消の可能性は
高額セミナーの返金可能性を検討する場合には、まずは、契約について法令違反の有無や法律上契約の無効、取消や解除の可能性を検討することになります。
具体的には、以下の可能性を検討することが考えられます。
①債務不履行(民法415条)について
起業セミナーという話だったのに、中身はFXに関するものだったといった場合には、そもそも相手方業者が当初合意した契約に基づく義務を履行していないとして、債務不履行による契約の解除及び返金が可能であると考えられます。
②暴利行為(民法90条公序良俗違反)について
一般に、情報やサービスにいくらの価値があるかということは、市場原理で決まります。
人にとっては無料の情報やサービスであっても、それを知らない人や地域にとっては有益であったり、価値があるケースもあります。そのため、無料で手に入る情報を有料で販売したとしても、直ちに違法ということはないです。
他方で、「暴利行為(いわゆるぼったくり)」と判断されるケース(例えば、相手の無知に付け込み、不動産を時価の1割で買い取ったといったケース)では、公序良俗違反(民法90条)として、契約が無効になる可能性があります。
もっとも、「暴利行為」自体明確な基準があるわけではなく、また、情報やサービスという適正価格や時価がはっきりしないケースでは、不当に高額である、すなわち「暴利行為」であるとの主張が法的には容易に認められない可能性が高いと考えられます。