(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数 21,052.17 pt (+1.25%)
中国本土株指数 7,172.43 pt (+1.51%)
レッドチップ指数3,878.22 pt (+0.48%)
売買代金1,741億6百万HK$(前日1,496億4百万HK$)

米国上場の中国株が軒並み上昇

5日の香港株式市場は、ハンセン指数が前日比1.25%高と4日続伸。節目となる21,000ポイントを回復し、終値ベースでは約半年ぶりの高値を記録した。午前中の取引では一時3%近くまで上昇し、新型コロナウイルスの防疫措置を大幅に緩和した中国の経済回復への期待が高まっている。


中国当局は約3年にわたって閉鎖していた国境を開放し、来週8日からは入国時の集中隔離も撤廃する。香港政府も、5日の記者会見で入境者数の上限は設定するものの、中国・香港・マカオの往来を段階的に再開すると発表した。

 

中国当局が急ピッチで規制緩和の動きを加速させている背景には、足元で中国経済が非常に厳しい状況にあることは、指摘してきた通りである。

 

市場参加者の中国経済に対する見方は、ここへきて好転してきている。米銀大手は4日、中国の今年の成長率予想を上方修正した。規制緩和により新型コロナウイルスの感染者が急拡大していることはリスク要因と指摘したものの、緩和による景気回復局面入りの時期は徐々に近づいてるとして、中国政府が設定する成長率目標も上向くとの見方を示した。


米国上場の中国株で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴンインデックスは前日比8.57%高と大幅上昇。これは昨年の安値から、70%近く回復した水準である。

 

代表例は、インターネットサービスのテンセント(0700)が、世界の時価総額トップ10に、半年ぶりに返り咲いたことだろう。同社の株価は昨年の安値から90%余り回復している。ニューヨーク証券取引所で取引されている中国企業上位10社の時価総額の合計額は、1月4日に700億ドル超増加した。

 

期待感が強まる一方で、足元の経済状況は厳しい現実がある。5日、財新が発表したサービス部門購買担当者景気指数(PMI)は48.0と先日発表された製造業、非製造業PMIに続いて見通しは非常に厳しい状態が続く。

 

ただ信頼感指数は17ヵ月ぶりの高水準と、今後の景気回復に強気な見方は強い。新型コロナウイルスの感染抑制策が転換が、中国での消費拡大につながるかに注目したい。

香港市場はハイテク株、リオープン銘柄などが大幅高

香港市場はハイテク株で構成されるハンセンテック指数が、前日比1.51%高と4日続伸。前日に大きく売られた自動車や電子部品が買い戻され、スマートフォン部品メーカーの舜宇光学科技(2382)は7.7%高、電気自動車メーカーの小鵬汽車(9868)は6.5%高、理想汽車(2015)は6.5%高、新興EVメーカーのNIO(9866)は5.6%高と上昇した。

 

リオープン銘柄も買われ、航空リースの中銀航空租賃(2588)は3.4%高、中国南方航空(1055)は2.9%高、中国国際航空(0753)は2.6%高、レストランチェーンの九毛九国際(9922)は5.2%高、呷哺呷哺(0520)は1.9%高だった。

 

主要銘柄も連日続伸。フードデリバリーの美団(3690)は5.25%高、Eコマース大手のアリババ(9988)は3.3%高、京東集団(9618)は2.7%高、自動車・電池メーカーの比亜迪(1211)は2.4%高だった。

 

中国本土株市場は上海総合指数は前日比1.01%高の3,155.22、CSI300は同1.94%高の3,968.58だった。経済再開に対する期待が強まり、消費関連株が上昇。早くも23年の成長率目標を各都市が5%以上に設定しているなど、期待の声が高まっている。
 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

 

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧