国家公務員の定年退職者、5人に1人が「定年後に生活苦」
令和6年3月、人事院は「令和5年退職公務員生活状況調査報告書※」を発表しました。これは、一般職国家公務員で令和4年度に60歳に達して定年退職した人について、定年退職後における就業の状況や収入・支出等の生活状況を調査したものです。
定年退職後の世帯の家計の状況は、
・「ゆとりはないが、赤字でもない」……38.8%
・「毎月のやりくりに苦労しており、時々赤字が出る」……23.3%
・「どうやりくりしても、常に赤字が出て生活が苦しい」……18.2%
となっており、4割を超える人達が家計に問題があるのがわかります。なお、こういった人たちの家計がマイナスとなる場合の対処方法(複数回答)は、
・退職手当を取り崩す……70.5%
・退職手当以外の預貯金等を取り崩す……61.1%
・節約を徹底する……60.3%
が多くなっています。
国家公務員は高給のイメージがあり、常勤職員が定年まで勤めた場合の退職金平均額も約2,112万円となっています(2023年12月内閣官房内閣人事局)から、定年退職後も悠々自適の生活を送っているように思われがちです。しかし、その実態は違うようです。
また、住まいについては定年退職後も約1/4の人に住宅ローンが残っていることに驚かされます。
当然ですが、生活に余裕がないとなると、年金受給までは間がありますから働くことも視野に入れて行動しないといけません。定年退職後も働きたいと思った人は実に8割を超えており、働きたいと思った理由も「日々の生計維持のために必要」と回答している人が最も高くなっています。
やはり生活のためなのか、「定年退職後は働きたいと思わなかった」人の54.1%が就労しているのも興味深いデータです。
民間の再雇用制度のような「暫定再任用制度」が国家公務員にはあり、定年退職後に働いている人の79.2%がこの制度を選択していますが、「民間企業」で働いている人も10.6%あります。
以上のデータを見ると、国家公務員であっても、現役時代から定年後の仕事について考えていく必要があることがわかります。