(※写真はイメージです/PIXTA)

リモートワークの普及や働き方改革などで、上司と部下のあいだでコミュニケーションがとりづらくなっている昨今、「部下を育てる」ことについて悩んでいる人も多いのではないでしょうか。しかし、部下との関係性は上司の「たった1つ」の意識で変えられると、大学野球日本代表も経験した異色の経営コンサルタント中田仁之氏はいいます。筆者自身の経験から、部下と接する際の心構えをみていきましょう。

リーダーの本気と部下の成長には「相関関係」

私は、本気で取り組むことで得られる楽しさを、野球を通じて学ばせていただきました。ですから、まだまだではありますが、これからも『手を抜く方が疲れる』と堂々と言える自分を目指しています。

 

そのために必要な心構えは、眼の前の小さなことを疎かにしない、今眼の前にいる人に本気で向き合う、これを続けることです。

 

あなたはリーダーとして、眼の前にいる部下の成長に対して本気で向き合うことです。本気で向き合うとは、部下の成長を誰よりも信じ、何があってもサポートし、しっかりと話を聞くということです。

 

「信じ、サポートし、聞く」たったこれだけですが、時にはこれに「叱る」が必要になってきます。部下を認めることと甘やかすことは全く違います。叱ることによって一瞬で部下のベクトルを変える効果があります。

 

チームとして目標に向かって進む上で「甘さ」は禁物です。チームの中に甘えが蔓延してしまっては、リーダーとしてもはや取り返しがつきません。リーダーの本気と部下の成長は相関関係があります。本気で部下の成長に向き合うリーダーのチームには、甘さではなく緊張と信頼のムードがあります。

 

あなたのチームは優勝を目指して取り組むチームですか? それともとりあえず楽しくやろうとするチームでしょうか? あなた自身の姿勢を変えるだけで、あなたのチームのムードは一変し、部下の姿勢も変わっていくのです。

 

野球未経験のコーチの「本気ノック」

私が小学生の頃の話です。その頃私は地元の少年野球チームに属していました。1年生から6年生までで50名を超えるチームでした。

 

小学生相手でしかも大半の子供は素人で入団してきますので、面倒を見るお父さんコーチもたくさん必要です。しかし、野球経験のあるお父さんばかりではなく、中には全く経験のない方もいらっしゃいました。

 

ある日、私が友達と遊ぼうと公園に行った時、野球経験のないお父さんコーチの方がいらっしゃいました。それまで、そのコーチはどちらかというと子供たちに舐められていました。何か指示を出しても、あまり言うことを聞かない子が多かったと記憶しています。

 

その方はネットに向かってひたすらノックを打つ練習をされていました。まさに脇目も降らずただ一心でネットに向かって1人でノックを打っていました。子供ながらにとても近寄れない雰囲気を感じました。

 

家に帰り、父親に今日の出来事を話しました。すると父に「あのコーチはお前らに少しでもうまくなってほしい、少しでも強くなってほしい、それしか考えてない人やで」と言われました。

 

私はその時の衝撃を忘れません。自分が子供たちに馬鹿にされないように、自分のために練習しているのではなく、私たちがうまくなるためにいいノックを打ってあげたいという他の誰かのために頑張っているんだ、ということに衝撃を受けました。

 

そのコーチには6年生の最後までお世話になったのですが、高学年になるにつれ、誰もそのコーチを馬鹿にする子はいなくなり、私たちもそのコーチのおかげで上達できました。

 

次ページ上司の成長しようとする姿こそが「最高のお手本」

※本連載は中田仁之氏の著書『困った部下が最強の戦力に化ける すごい共感マネジメント』(ユサブル)より一部を抜粋し、再構成したものです。

困った部下が最高の戦力に化けるすごい共感マネジメント

困った部下が最高の戦力に化けるすごい共感マネジメント

中田 仁之

株式会社ユサブル

困った部下(=指示待ち族、指示に従わない、手を抜く)にお困りのリーダーは経営者や管理職を問わず非常に多いようです。 ある「5つのメソッド」を念頭に、リーダーとしての「姿勢」をもう一度見直してみてみることで、あ…

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