(※画像はイメージです/PIXTA)

2022年12月16日に与党の2023年度税制改正大綱が発表されました。そのなかに、法人のいわゆる「節税」「決算対策」として40年近くにわたり広く行われてきたポピュラーな「節税方法の定番」ともいえる方法を封じるねらいがあるのではないかという「ある記述」があり、波紋を呼んでいます。本記事では、その記述の内容が意味するところと、そこから推察されるねらい、および問題点について解説します。

航空機等にも波及する可能性があるか?

今回の税制改正大綱の記述は、あくまでも船舶のオペレーティングリースに関する「計画納税」のスキームのみを念頭に置いたものです。他の航空機等のオペレーティングリースについては何らの言及もされていません。したがって、オペレーティングリースの「計画納税」スキーム全般に蓋をされることは直ちには考えにくいといえます。

 

実際に、オペレーティングリース全般において行われているのは、減価償却の一般原則にのっとった通常の法定耐用年数による償却であり、そこに、金融機関からの多額の融資による「レバレッジ」がきいているにとどまります。

 

いわゆる富裕層が不動産投資において、投資対象の物件を一括購入できる十分な資力があるにもかかわらず、減価償却による「節税」、あるいは収益拡大のためローンを借りて「レバレッジ」をかけていることがありますが、それと同じ理屈です。

 

政府・与党も、税務当局も、法的観点から「租税回避だ」という評価を下しにくいスキームであり、だからこそ、1980年代前半から40年近くもの間、広く利用されてきたといえます。

 

しかも、現在の与党、特に自民党はもっぱら資本家階級・富裕層を根強い支持層としており、露骨に経営者の不利益になる税制改正に手を付けることはしにくいと考えられます。

 

また、もしもオペレーティングリースにおける「レバレッジ」に網をかけるのであれば、少なからぬ富裕層が行っている上述の不動産投資における「レバレッジ」についても、一切不問ということにはできなくなります。

 

ただし、比較法的には、海外においては、アメリカをはじめとして、本業と無関係な投資に対して厳しい態度で臨む例がみられます。

 

また、法人税については長らく「減税」の傾向にありましたが、いわゆる「防衛増税」が取り沙汰されているように、方針転換の可能性も完全にゼロとはいいきれません。支持率の低下に喘ぐ岸田政権ですが、「財政均衡」と「増税」の2点において、財務省の意向を代弁するような動きを見せる傾向があります。2025年の参議院議員選挙まで、衆議院を解散しない限り国政選挙がないという状況を逆手にとって、なりふり構わぬ増税に邁進する可能性もあります。

 

したがって、今後、「会社の節税の定番」となっているオペレーティングリースによる「計画納税」スキームに網がかけられる可能性は視野に入れておいたほうがよいかもしれません。

 

近年の税制の動きをみると、「取れるところから取る」という姿勢が見受けられます。総じて「租税法律主義」「課税の公平性」という税制に求められる原則が蔑ろにされているのではないか、あるいは税務当局者の理解が浅薄なのではないかという疑念を禁じ得ません。それらの原則が無にならないよう、国民として、政府・国会の行為を監視していく必要があります。

 

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