(※画像はイメージです/PIXTA)

政府・与党が、2023年度税制改正大綱において、投資の運用益が一定限度で非課税となる「NISA」の拡充を盛り込む方針であることが明らかになりました。岸田内閣の「資産所得倍増計画」の一環ですが、そもそも投資は余剰資金で行うものであり、それを準備できない人はどうすればよいのかという問題が残ります。NISA拡大の中身と、その意義・問題点について解説します。

NISAの基本的なしくみ

◆NISAとは

「NISA」は、「少額投資非課税制度」(Nippon Individual Savings Account)の略称です。投資によって生じた運用益を一定限度で非課税とするものです。

 

どういうことかというと、株式や投資信託等の金融商品に投資した場合、そこから得た売却益や配当金には原則として約20%の税金がかかります。NISAはその例外として、一定限度の投資額について得た売却益・配当金を非課税にするものです。

 

NISAには「つみたてNISA」「一般NISA」「ジュニアNISA」があります。このうち、実質的な拡充の対象となる現行の「つみたてNISA」「一般NISA」のそれぞれについて、概要を説明します。

 

なお、ややこしいことに、ネーミングとは裏腹に「つみたてNISA」のほうが「一般NISA」よりも万人向けです。そのように理解したほうがわかりやすいのです。

 

◆つみたてNISA

まず、「つみたてNISA」の概要は以下の通りです。

 

・投資対象:一定の投資信託(長期・分散・積立に適したもの)

・非課税枠:年40万円(月約3.3万円)

・期間:最大20年

・期限:2042年

 

「つみたてNISA」は投資対象が比較的リスクの低いもの、すなわち、「長期・分散・積立」によるリスク分散効果が大きい投資信託(インデックスファンド)に限られています。

 

これらは、まったくの投資の初心者でも、10年、20年、30年という長い時間をかければ、淡々と積み立てることによって着実に資産を増やせる可能性が高いものです。そういう意味で、「万人向け」「一般向け」といえます。

 

◆一般NISA

一般NISAの概要は、以下の通りです。

 

・投資対象:株式、一定の投資信託(つみたてNISAよりも広範囲)

・非課税枠:年120万円

・期間:最大5年

・期限:2023年

 

「一般NISA」は「つみたてNISA」と比べ、投資対象が幅広く設定されています。たとえば、ゼロになるリスクもある「個別の株式」や、投資信託のなかでもリスクが高い「アクティブファンド」とよばれるものや「レバレッジ型」の商品も対象としています。

 

したがって、「一般」という名前とは裏腹に、はっきりいって「万人向け」「一般向け」とはいえません。投資についてある程度の経験・知識がある人向けとなっています。

 

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