調査は全研本社が企業の人事・労務など採用担当者を対象に8月19~21日に実施し、200件の回答を得た。回答した企業の従業員数は500名以下が42.5%、500名超~1000名以下が15.5%、1,000名超が42%。業種は製造業、サービス業、金融・保険、情報・通信、流通・小売業、教育・医療サービスなどだった。
生活サポート体制や日本語研修などにも不安
全研本社が実施したアンケート調査によると、「外国人採用にあたっての課題について教えてください」との質問に対して、最も多かった回答の1つは「労務管理への不安」で、全体の28%を占めた(複数回答)。人事担当者が日本との文化や生活習慣、モラルの違う外国人を管理する難しさへの不安を感じていることが浮き彫りになった。
最も多かった、もう1つの回答は「選考で自社にマッチした人材を見抜くのが難しい」で28%だった。日本では外国人の採用に慣れていない企業も多く、能力や人柄、企業文化に合わせられるかなどの評価をすることが容易ではないようだ。
次に多かったのが「生活サポート体制」と「日本語研修の準備」でそれぞれ24.5%。日本語が不自由な外国人労働者が日本の生活に慣れるために具体的にどうすれば良いのかに悩んでいる企業も多い。さらに「(外国人社員への対応に向けた)外国語が堪能な日本人社員の確保」、「(外国人社員は)長期雇用が望めない」「在留資格の複雑な手続き」などを心配する声もあった。
必要な支援は「採用面接」が圧倒的なトップ
「外国人採用にあたっての必要な支援、教育について教えてください」という質問に対しては「ミスマッチのないよう採用面接の支援」が38%と圧倒的に多かった。全研本社では採用面接に担当者が立ち会って相互理解に向けたサポートをしているが、こうしたニーズは多いといえそうだ。
「各種手続きに関する支援」も29.5%を占めた。在留資格など複雑な手続きも多く、こうしたサポートが難しいと感じる人事担当者も少なくない。このほか、「英語などの外国語が堪能な日本人社員の確保」、「既存社員の異分野理解」に向けた支援との回答も多かった。「外国人向けの日本文化研修」や「住まいなど生活に関する支援」を求める声も多く、仕事だけでなく、生活全般にわたったサポート体制が必要との見方があった。
外国人人材を採用した企業の半数近くが「優秀な人材を得られた」
すでに外国人人材の採用をした企業に課題を聞いたところ、「日本語力の向上」が42.5%で断トツのトップだった。特に中小企業では英語をはじめとした外国語に堪能な社員が少ないため、外国人人材に「早く日本語をマスターしてほしい」との要望が強いようだ。「ビジネスマナーの理解」「社内における異文化理解」「生活習慣の違い」といった外国人人材が育ってきた環境と日本とのギャップに悩む企業の姿も浮き彫りになった。
一方、すでに外国人人材を採用した企業に「プラスの効果」を聞いたところ、最も多かったのが「優秀な人材を得られた」との回答で、44.8%を占めた。このほか、「今までにない発想力を得られた」「成長への意欲が高い人材を得られた」「スキルアップに貢献した」といった答えも多かった。
外国人の採用では、日本人以上に優秀な人材が一定の給与で得られることも多く、能力については高い評価を得ている。外国人人材を採用した場合、語学や文化で相互理解を進める必要はあるものの、企業の生産性を高める可能性が高いといえそうだ。