(※写真はイメージです/PIXTA)

勤めている会社から退職する際に、誓約書を書かされることはあるでしょう。お世話になった会社への最後のご奉公ともいえますので、気持ちよく記載したいところです。しかし、その内容が、自身の再スタートに著しく支障をきたすものならどうでしょう。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、活動を制約する内容の誓約書への記載義務について原悠太弁護士に解説していただきました。

 

退職するネイルサロンとの誓約書に気になる内容が…

相談者のdoremiさん(女性・仮名)は、ネイルサロンを退職する事になっています。

 

退職に際し、オーナーから誓約書を渡されたのですが、その内容で気になることが幾つか記載されていました。

 

・退職後5年以内は、お客様に施術、相談など一切のサービスを行わない

 

・偶然お客様に会ったとした場合は、当日に連絡する

 

・違反したら、1人につき50万円を損害賠償として支払う

 

doremiさんは辞めた後、別の店で働くことを予定しており、記載することで支障が出てきます。

 

そこで、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の4点について相談しました。

 

(1)法的に記載する義務があるのか。

 

(2)そもそも誓約書の効力はどれくらいあるのか。

 

(3)在職中に対応したお客様に、退職後のことを聞かれた場合、話してもいいのか。

 

(4)退職後、偶然、お客様と会った際、他店で働いていることを話していいのか。

退職時の誓約書にサインする義務はない

(1)法的に記載する義務があるのか

法的な記載義務はございません。

 

(2)そもそも誓約書の効力はどれくらいあるのか

誓約書は、契約書や同意書等と同様、証拠としての価値は極めて高いものです。

 

ですので、サインをしてしまった時点で、原則誓約書の内容に拘束されることになります。もっとも、後述しますが、例外的に誓約書の内容次第では後になってから無効を争うことができる場合もあります。

 

(3)在職中に対応したお客様に、退職後のことを聞かれた場合、話してもいいのか

社内ルールやお客様との会話の内容にもよりますが、原則はお話ししない方がよいです。

 

doremiさんのお客様との会話内容が、顧客引き抜きの能動性が高いと評価された場合(お客様が嫌がっているにも関わらず転職先にお店を変更するように誘導した等)、顧客奪取等の別の問題が生じることがあります。

 

(4)退職後、偶然、お客様と会った際、他店で働いていることを話していいのか

ご質問のように、本当に偶然会ったのであれば問題ないと思います。

 

もっとも、事前に誓約書等でこうしたシチュエーションも禁止されていたり、そうでなかったとしても前職の会社さんはいい気がしないでしょうから、トラブルの元にはなりえます。

競業避止義務契約の有効性を左右する指標とは?

退職時の誓約書は、会社からすれば退職者に対して競業避止義務を負わせたり、顧客奪取を禁止したり様々なメリットがあります。

 

一方、労働者からすれば自身の職業選択の自由が制限され、できる限りサインしたくないところです。

 

この点、退職時の誓約書の目的のひとつでもある競業避止義務契約の有効性について、いくつかの判例を根拠に一定の目安が存在しますのでご紹介します。

 

次ページもしサインをしてしまうと…

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