仕事で成果を出すために必要なこと
■人と一緒に仕事をするには「話し方」だけでは不十分
通常仕事は一人では完結できません。営業として仕事を取ってきても、注文をもらった製品・サービスを誰かに納めてもらわなければなりません。ですので、仕事の分担や、場合によってはチームワークが必要になります。仕事が複雑になると、単なる分担や指示だけでは収まらず、調整や変更、場合によっては交渉等が必要になります。
人と一緒に仕事をする時に、その人たちと良いチームワークが組めると良い結果が得られます。
それでは、良いチームの条件とは何でしょうか?
私はよく、以下の8つを示し、単なる人の集まりとしてのグループから、高い目標が達成できるチームになれる条件を示しています。
(1)チームとしての目標がはっきりしている
(2)タイムリーで的確なリーダーシップが発揮されている
(3)メンバーの目標達成意欲が高い
(4)相互理解・共感度が高く、信頼し合っている
(5)メンバーの能力・適性・意欲に応じた役割分担がある
(6)一人ひとりが責任感を持って 役割を果たしている
(7)コミュニケーションが円滑に図れている
(8) 助け合えている
例えば、(1)チームとしての目標がはっきりしているということについていえば、誰かが目標設定をする必要があります。皆と相談して決めることもあるでしょう。ただ目標として定める場合に、なぜその目標にする必要があるのか、その目標を達成する意義や意味は何なのかを示して、メンバーに納得してもらう必要があります。
こうしたことは、先に紹介した、「他人に好かれる話し方」だけでは十分ではありません。仮に、当初は嫌がられてもその目標を示し、みんなで進んでいかなければならないこともあるでしょう。ですから、目標を示したり、目標を共有したりする「語り方」が必要になります。
また、(2)タイムリーで的確なリーダーシップが発揮されているということについていえば、リーダーシップというのは、この先必ずしもうまくいくかどうか分からないことについて意思決定を行うことを含みます。
そうすると、起こりうる結果について予想し、リスクを回避しながら誰かが決めて、先に立って行動する必要があります。それには、「普通の人が簡単に話せるようになる3つのコツ」等では十分ではないことは明らかです。
このようにみてくると、入り組んだ仕事をこなして成果を出していくには、「話し方」以上のものが求められることが分かって頂けると思います。
■リーダーや管理者には「語る力」が求められる
下表は、ある業績の悪い会社にコンサルに入った際に、マネジャーの人たちに向けて、マネージャーの役割について話した時の資料です。
その会社では、マネジャーというポジションの人たちが、手配師のような仕事しかしていなかったので、「皆さんには管理者としての役割やリーダーとしての役割もあるのですよ」と言って諭し、今行っている以上の役割を果たすべきであると語りかけました。それに続けて、それぞれ弱そうなポイントについて、新たに教材を作り、何回かシリーズで研修を行いました。
これらの項目は、他の一般的な会社でも通用する事柄です。リーダー的な職位であれば、リーダーの役割、管理者的な職位であれば管理者の役割を果たす必要があります。そしてそのためには、それぞれのシチュエーションに応じた語りをする必要があります。ですから、リーダーにはリーダーの、管理者には管理者の役割に応じた「語り方」ができる必要があるのです。
(図版)