(写真はイメージです/PIXTA)

家族が亡くなると、役所への書類提出や相続状況の確認、税金の申告など、さまざまな手続きが降りかかります。本記事では相続発生後の手続きの進め方について、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が詳しく解説します。

遺産分割協議書とは?

遺産分割協議が無事にまとまったら、そのまとまった話し合いの結果を書類に残します。 この書類が、「遺産分割協議書」です。 遺産分割協議書には、誰がどの財産を受け取ることになったのかを正確に記載したうえで、相続人全員が署名と実印での捺印をします。 遺産活協議書を作る目的は、次の2つです。

 

1.遺産分割協議がその内容でまとまったことの証拠をのこすため

せっかく協議がまとまっても、あとから「そのような内容には納得していない」などと蒸し返されてしまっては非常に困ります。そのような事態を避けるため、きちんと書面に残し、実印での捺印をもらうことで証拠を残しておくのです。

 

2.その後の各財産の名義変更や解約手続きに使うため

それぞれの遺産を誰が受け取るのかが決まったら、それぞれの遺産の名義変更や解約を行います。たとえば、不動産の名義を変える手続きや、預貯金を解約して相続人の口座にお金を移すといった手続きなどです。こうした手続きの際には、本当にその人に名義を変えたり預金を払い戻してしまったりしていいのかの確認資料として、遺産分割協議書の提示が求められます。

 

たとえば、長男が亡くなった父親名義となっている自宅の土地建物を自分の名義に変えようとした場合には、長男が自宅の土地建物を相続することについて相続人全員が納得している証拠として、遺産分割協議書を提示するのです。遺産分割協議書はこうした手続きにも使用するため、それぞれの財産をきちんと特定したうえで、誰が相続することに決まったのかを明確に記載する必要があります。

相続税はすべての人にかかる?

相続税は、亡くなった人の遺産全体に対してかかる税金です。しかし、実は相続税はすべての相続にかかるわけではありません。相続税がかかるかどうかの判断基準は、次のとおりです。

 

遺産総額が相続税の基礎控除額以下なら相続税はかからない

相続税には、相続ごとに「基礎控除額」が定められています。被相続人が遺した財産に、亡くなる直前3年間にした一定の贈与を足した額が基礎控除額以下であれば、原則としてその相続に相続税はかかりません。

 

また、特例を使わずに遺産総額がこの額を下回った場合には、原則として相続税の申告自体が不要です。

 

相続税の基礎控除額は、次の式で計算をします。

 

相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

 

この式に当てはめると、法定相続人の数ごとの基礎控除額は次のとおりです。

 

・1人:3,600万円

・2人:4,200万円

・3人:4,800万円

・4人:5,400万円

・5人:6,000万円

 

遺産総額がこの額を超えるかどうかが、相続税がかかるかどうかの1つの基準となりますので、ご自身に関係する金額だけでも知っておくといいでしょう。

 

相続税の特例を使うには申告が必要

相続税には、相続税額を大きく減らすことのできる特例が存在します。 代表的なものは、次の2つです。

 

・小規模宅地等の特例:要件を満たす土地が最大8割減で評価される特例

・配偶者の税額軽減:配偶者が受け取った財産のうち1億6,000万円か法定相続分相当額のいずれか大きい額までは相続税が無税となる特例

 

これらの特例を使用するには、いずれも相続税の申告が要件となっています。 そのため、仮に相続税がゼロになる場合であっても、それが特例を使用した結果である場合には、相続税の申告自体はすべきである点に注意しましょう。

 

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