【事例】亡き母に前婚の子が…複雑化する相続の話し合い
ご相談までの経緯・背景
本記事でご紹介するのは、母親を亡くしたAさんのケースです。亡くなった母の財産を相続する相続人は、Aさんと、Aさんの父Bさん、Aさんの弟Cさん、そして母の前婚の子であるXさんとYさんも含め、全部で5人でした。
相続財産には、預貯金と不動産がありました。唯一の不動産はCさんが長年住居としており、Cさんは今後も住み続けたいと希望しています。
Aさんは、弟であるCさんの希望を叶えたうえで、相続人全員が納得して円満に遺産分割を行いたいと考え、当法律事務所へ相談にいらっしゃいました。
解決までの流れ
Aさんは、母の前婚の子であるXさんとYさんが、不動産を単独で弟Cさんに相続させることに同意してくれるか心配していました。
共同相続人の一人が相続開始前から被相続人の許諾を得て遺産である建物に被相続人と同居してきた場合は、特段の事情のない限り、被相続人死亡時から少なくとも遺産分割終了までの間は、被相続人の地位を承継した他の相続人を貸主、同居相続人を借主とする建物の使用貸借契約が存続するという判例があります。
この判例が前提としているのは、当該建物は遺産分割の対象となること、遺産分割協議後、共有建物になった場合には賃料を支払う必要がでてくる可能性があることです。
そこで弁護士は、不動産の価格と銀行の金銭債権をあわせた金額の法定相続分の8分の1をXさんとYさんに支払うことによって、不動産を弟Cさんの単独所有にすることを提案しました。
結果・解決ポイント
弁護士の提案に、XさんとYさんも同意し、無事に遺産分割協議が成立しました。これにより、Cさんが長年住居としていた不動産はCさんの名義に変更され、この先も住み続けられることとなりました。
本記事でご紹介したような相続と離婚がかかわるケースでは、相続人同士の関係が複雑になってしまう場合があります。
では、続いては「離婚した元夫とのあいだの子が、その元夫の死後に相続を受けられるのか」という問題を例に、離婚と相続の仕組みについて見ていきましょう。子どもは元夫の財産を相続することができるのでしょうか?
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