(※写真はイメージです/PIXTA)

贈与の証拠を残すために作成する書類である「贈与契約書」。贈与自体は口頭でも成立しますが、書面を残さなかったことで、のちのち税務署から狙われることも……。本記事では、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が、贈与契約書の作成方法とともに、作成すべき理由を解説します。

「贈与契約書」とは?

(※写真はイメージです/PIXTA)
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贈与契約書とは、贈与を行ったことを、当事者が契約書の形で残す書類です。贈与契約書は、贈与の対象物や贈与の日付などを記載したうえで、財産をあげた人(「贈与者」といいます)と、もらった人(「受贈者」といいます)が署名捺印をして作成します。

 

贈与契約の成立には書面は要件とされておらず、口頭の合意のみでも成立します(民法549条)。もっとも、さまざまな理由から、贈与契約書を作成するケースは少なくありません。

贈与契約書を作成する理由

(※写真はイメージです/PIXTA)
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では、贈与契約書は、なんのために作成するのでしょうか? 贈与契約書を作成する理由としては、主に次のものが挙げられます。

 

理由1:当事者間のトラブルを予防するため

先ほども解説したように、贈与契約は「口頭」、つまり口約束だけであっても成立します。しかし、口頭で約束をしたのみでは、「言った」「言わない」のトラブルとなる可能性が否定できません。

 

また、当事者同士ではトラブルにならなくとも、贈与者が亡くなったあとで、ほかの相続人とトラブルとなる可能性もあるでしょう。たとえば、「贈与ではなく、勝手にお金を使い込んだのではないか」と疑われるケースなどが考えられます。きちんと贈与契約書を交わしておくことで贈与の事実が明確になるため、こういったトラブルを予防することが可能となります。

 

理由2:不動産登記など名義変更手続きで必要となるため

不動産を贈与した場合などには、名義変更の手続きで、贈与契約書などの添付が必要となります。そのため、名義変更の手続きで使うことを目的として贈与契約書を作成する場合も少なくないでしょう。

 

理由3:税務署から贈与を否認されないため

税務署から贈与を否認されないために、贈与契約書を作成する場合があります。生前に有効に贈与が成立している財産であれば、亡くなる前の一定期間に贈与した財産を除き、相続税の対象とはなりません。しかし、仮に贈与が成立していないと税務署側に判断されれば、贈与を受けたはずの財産も、相続税の課税対象とされてしまいます。

 

たとえば、亡くなった人(「被相続人」といいます)の妻がずっと専業主婦であるにもかかわらず多額の財産を持っているような場合には、税務署から名義財産を疑われる可能性が高いでしょう。名義財産とは、名義こそ妻になっているものの、実態は被相続人の遺産である財産などのことです。

 

そのため、妻名義となっている資産の出どころが調査されるケースは少なくありません。これが、確実に被相続人である夫からの贈与であり、その証拠もある場合には問題ないでしょう。「証拠」とは、過去に贈与税の申告をした事実や、贈与契約書などです。

 

他方で、有力な証拠がない場合には、贈与が成立していないと判断されて、遺産として相続税の課税対象とされる可能性があります。このような事態に備えて、贈与をした時点で贈与契約書を取り交わし、証拠を残しておくことがあります。

 

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