(※写真はイメージです/PIXTA)

公正証書遺言とは、公証人の関与を受けて作成する遺言書です。作成には手間や費用がかかるものの、もっとも無効となりづらく確実な遺言方式であるといえます。しかし、公正証書遺言を遺しても、相続人がもめるケースはゼロではありません。そこで本記事ではAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が、公正証書遺言があってももめるケースの紹介とともに、もめないための対策について解説します。

「公正証書遺言」とは?

遺言とは、自分の死後における財産の行き先などを生前に指定しておく手続きです。

 

有効な遺言書を遺しておくことは、相続争いを防止することにつながります。なぜなら、有効な遺言書があることで、相続人同士で遺産わけの話し合い(「遺産分割協議」といいます)をすることなく、遺産のわけ方をあらかじめ決めることが可能となるためです。

 

なお、遺言は、民法で書くべき要件が定められているため、それに従って書く必要があります。また、方式に関しても民法で定められています。そして、公正証書遺言は、民法で定められた遺言方式のひとつです。公証人が関与して遺言をする方式であるため、もっとも確実で無効になりにくい遺言方式であるといえるでしょう。

自筆と比較…公正証書遺言の主な4つの特長

よく活用されている遺言方式には、公正証書遺言のほか、遺言者が全文を自書する「自筆証書遺言」が存在します。この自筆証書遺言と比較した公正証書遺言の主な特徴は次のとおりです。

 

1.遺言者が自書する必要がない

公正証書遺言は、自分で文章を組み立てたり自書したりする必要がありません。そのため、誤った表現をしたことで遺言内容が実現されないリスクや、書き損じのリスクなどを避けることが可能です。また、自書する必要がないため、手が動かなくて文字が書けないような場合でも、作成することが可能です。

 

2.無効になりづらい

公正証書遺言は、公証人が関与して作成します。そのため、無効な遺言書を遺してしまうリスクを最小限に抑えることが可能です。

 

3.原本が公証役場で保管されるため紛失や隠匿の心配がない

公正証書遺言を作成すると、その原本は公証役場に保管されます。そのため、遺言書を紛失したり隠されたりする心配がありません。なお、遺言者の手元には原本を元に作成した「謄本」や「正本」が交付されることになり、実際の相続手続きではこの謄本や正本を使うことになります。

 

4.相続開始後に検認が不要

検認とは、その時点における遺言書の状態を保存する手続きであり、遺言者の死後に、家庭裁判所で行います。自筆証書遺言であれば原則としてこの検認手続きが必須であり、検認を経なければ相続手続きに遺言書を使うことができません。一方、公正証書遺言は検認が不要です。

 

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