年々増加している相続トラブル
相続トラブル事例は、年々増加傾向にあることはご存じでしょうか。家庭裁判所で取り扱う、遺産分割事件数は、年々増加傾向となっております。
平成14年度:9,140件
平成21年度:1万741件
令和元年度:1万2,785件
これらの相続トラブルは、もともと仲のよくない家族に生じているのでしょうか? はたまた、アパートや上場株式などの多額の資産を保有する資産家に生じているトラブルなのでしょうか?
答えは、両方とも「NO」です。生前仲のよかった家族が相続をきっかけに険悪な状態になったり、財産が3,000万円以下しかない相続でトラブルが生じたりと、トラブルの内容は多岐にわたります。ここでは、相続案件の経験豊富な弁護士が、一般的にどのようなケースで相続トラブルになりやすいかを解説いたします。
よくある相続トラブル事例
よくある相続トラブルは、以下のようなケースです。
1.相続財産のなかに、不動産があるケース
不動産が1つしかない場合、誰がその不動産を取得するのかでもめることがあります。1つの不動産を2人以上でわける「共有」という方法もあることはあるのですが、すべてのケースでそのような解決が望ましいわけではありません。特に賃貸マンションなどの収益不動産の場合には、誰がその不動産を取得するのかでもめることが少なくありません。
2.相続人同士の関係性が希薄なケース
たとえば、被相続人が、再婚をしており、前妻とのあいだのお子さんが相続人となる場合、前妻とのあいだのお子さんと現在の家族は、ほとんど関係性がないことがよくあります。そのため、そのような相続人のあいだで、遺産のわけ方について話し合いをすることは簡単ではありません。
また、ほかにも相続人が被相続人よりも先に亡くなっており、代襲相続となっているケースや第3順位(兄弟姉妹)が相続人となる場合も、相続人同士の関係性が希薄で、しっかりとコミュニケーションをとることができず、話し合いがまとまらないことが少なくありません。
3.特定の相続人のみが、被相続人の介護などを担っているケース
特定の相続人が被相続人の身の回りの世話や介護を行っていた場合、「寄与分」の問題となることが多いです。「寄与分」とは、相続人のなかに、被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした者がある場合に、ほかの相続人とのあいだの実質的な公平を図るため、その寄与した相続人に対して相続分以上の財産を取得させる制度です。
被相続人の身の回りの世話や介護をしている相続人は、身の回りや介護をしたことによって、被相続人の財産が減ることを防ぎ、財産を維持したとして、「寄与分」が認められることがあります。特に、「介護」については、介護をした相続人としなかった相続人とのあいだで、「介護した分」をどう評価するかについての意見の乖離が大きい場合が多く、紛争に発展しやすいです。
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