(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数 17,297.94 pt (▲1.57%)
中国本土株指数 5,872.38 pt (▲1.65%)
レッドチップ指数 3,470.99 pt (▲1.16%)
売買代金1,182億9百万HK$(前日948億0万HK$)

中国主要都市で行動制限に対する抗議デモが発生

中国では週末に、行動制限に対する抗議デモが主要都市で拡大し、異例の事態が発生した。発端は先週24日に発生した新疆ウイグル自治区のウルムチの高層アパートの火災事故がきっかけだが、首都北京や上海でも市民の抗議の声は伝播し、デモとなって規模が拡大した。

 

ウルムチの火災では、ビルが部分的にロックダウンされていた影響で住民が逃げ遅れたほか、交通規制によって消火活動が制限されたことが被害を拡大させたとして批判が強まった。

 

世界の大半の国は、新型コロナウイルス抑制の行動規制を解除する方向へかじを切っているが、中国共産党は、厳しい行動制限を堅持している。当局は「ダイナミック・ゼロコロナ政策」として、効果的な制限を実施するよう、地方当局に通達し、政策を転換したものの、感染が拡大するなかで、制限解除に踏み込みづらい環境にある。

 

感染者の人数は歯止めが効いているとは言えない。28日に発表された前日の新規感染者(無症状者含む)は初めて4万人を超えた。11月に入って感染者は拡大し続け、前月比は20倍超近くに増加した。

 

中国では、政府を直接批判すること、10人以上の集会を開催することは、厳しく罰せられる。それでもなお、政権への批判の声を上げ、行動制限の撤廃や政治的要求を求めて声を挙げる行動が、中国主要各都市で発生していることは、驚きでもある。中国の国内情勢は、緊迫化しており、当面、情勢を注視していく必要があるだろう。
 

中国の景気悪化に対する懸念強まる

28日の香港市場は週末に相次いで発生した抗議活動で政治的な不透明感が生じたほか、中国の景気悪化に対する先行き懸念が強まった。

 

ハンセン指数は朝方、前日比4%以上売られて取引が開始されるなど、節目の17,000ポイントを割れる場面もみられた。大引けにかけて下げ幅を縮小するも、前日比1.57%安の続落となった。

 

経済指標の悪化も目立つ。中国国家統計局が27日に発表した22年1-10月の工業企業利益は前年比3.0%減少した。減少率は前月までの1-9月から拡大しマイナス幅は4ヵ月連続、行動制限による生産の混乱や需要低下が経済の足を引っ張っるなどしており、影響は顕著となる。

 

連日大幅高を記録していた不動産株が下落し、不動産株で構成されるハンセン不動産指数は4.49%安。不動産管理サービスの碧桂園服務(6098)は10.8%安、不動産大手の碧桂園(2007)は5.8%安、龍湖集団(0960)は5.0%安、中国海外発展(0688)は3.2%だった。

 

金融関連株も軟調。保険大手の中国平安保険(2318)は4.6%安、香港大手行のハンセン銀行(0011)は4.5%安、中国人寿保険(2628)は4.1%安、中銀香港(2388)は3.8%と下落した。

 

一方、カジノやレストランなどのリオープン銘柄が反発。連日、新型コロナ感染拡大の影響で売りが目立っていた半面、買い戻しが顕著だった。

 

大手カジノの高永利澳門(1128)は15.1%高、金沙中国(1928)は8.4%高、澳門博彩(0880)は7.0%高だった。レストランチェーンの海倫司国際(9869)は8.9%高、火鍋チェーンの海底撈国際HD(6862)は6.8%高、九毛九国際(9922)は6.0%高だった。

 

中国本土株市場は上海総合指数は前日比0.75%安の3,078.55、CSI300は同1.13%安の3,733.24だった。景気不透明な環境から大手銀行をはじめ金融株に売りが波及し、上海総合指数は2週間ぶりの安値を付けた。
 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

 

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