(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数 18,597.23 pt (+2.16%)
中国本土株指数 6,374.44 pt (+2.21%)
レッドチップ指数 3,655.13 pt (+1.73%)
売買代金2,220億9百万HK$(前日1,667億6万HK$)

感染者数最多の広東省が、規制緩和を発表

中国で最大の感染者数を占める広東省であるが、30日、広東省当局は、複数の地域で新型コロナウイルスの規制ルールの緩和を発表した。感染が集中する海珠区は低リスク地域として今後管理され、行動規制が緩和されたほか、要件を満たした地区からは、可能な限り早く、封鎖が解除される方針と伝えられた。

 

地方政府はより効果的かつ科学的な対策で感染対策の最適化を図り、経済発展と中小企業の支援に努める意向で、地区全体の検査を可能な限り避けるよう取り組む姿勢を示した。


29日、広東省の感染者は中国最多の8.754人を記録しており、本土の感染者は依然として高水準にある。先週末にかけて中国のいくつかの大都市では新型コロナウイルス対策の規制に反対する、大規模な抗議行動が発生した。

 

前日には、中国国家衛生健康委員会と関係団体は記者会見を開催し、新型コロナウイルスの防疫対策に対する市民の不満が高まっている状況について、地方政府の独断的な規制に批判的な姿勢を示したばかりだ。

 

今回の広東省の緩和は更なる中国の規制緩和につながるとの期待が強まった。iPhone工場などがある河南省の鄭州市でも、行動制限が30日に解除されている。

ハンセン指数は2日続伸の大幅高

朝方、中国国家統計局が発表した景況感を示す11月の製造業購買担当者指数(PMI)は、48.0と2ヵ月連続で好不況を判断する節目の「50」を下回った。当局の厳格な新型コロナウイルス対策に伴う移動制限が響き、景況感が一段と悪化。11月の非製造業PMIは前月から低下し、46.7だった。

 

製造業・非製造業ともに数字ベースでは最大の経済都市である上海がロックダウンされた、今年4月以来の低水準となった。
 

感染拡大エリアの規制解除により、ハンセン指数は続伸

30日の香港市場は弱い経済指標から安く寄り付いた後、前日終値で一進一退の動きとなった。午後からは前述した広東省を含め、感染拡大が続いている地域での解除が指数を押し上げ、ハンセン指数は上げ幅を拡大し前日比2.16%高で引けた。

 

同指数の月間のパフォーマンスは26.6%高と1998年以来、24年ぶりの上昇幅となった。香港上場の本土銘柄から成るハンセン中国企業株(H株)指数は月間で29.1%に達し、2003年来の大きな上げとなった。

 

レストランなどのリオープン銘柄が反発。レストランチェーンの海倫司国際(9869)は22.2%高、火鍋チェーンの海底撈国際HD(6862)は15.5%高、九毛九国際(9922)は12.3%高と大幅高となった。

 

エアラインやカジノ関連株も買い優勢となり北京首都国際機場(0694)は7.0%高、中国南方航空(1055)は5.0%高、オンライン予約の同程旅行(0780)は8.6%高、トリップドットコム(9961)は3.4%高だった。大手カジノの金沙中国(1928)は5.6%高、永利澳門(1128)は5.3%高となった。

 

主要銘柄も堅調となり、自動車・電池メーカーの比亜迪(1211)は5.2%高、Eコマースの京東集団(9618)は3.8%高,保険大手のAIAは3.0%高、香港取引所(0388)は2.0%高、アリババ(9988)は1.5%高だった。

 

中国本土株市場は上海総合指数は前日比0.05%高の3,151.34、CSI300は同0.12%高の3,853.04で引けた。冒頭で触れた広東省の記者会見が、中国市場が引けた現地時間15時に発表されたこともあり、指数の上げ幅は限定的だったもの、経済活動持ち直しの期待が相場を支える流れとなり続伸した。上海総合指数は2ヵ月ぶりの高値を付けた。

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

 

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