日本人は不安耐性が弱い
2020年から始まったコロナ禍は、日本人の不安耐性の弱さを浮き彫りにしました。
発生直後には、マスクやトイレットペーパー、消毒用アルコールの買い占めがありました。そのあとは「自粛警察」が飲食店やパチンコ店の周りに出没しました。
そうした狂騒ぶりはさすがに収まった感があるものの、現在も続いてるのは、ほぼ全員がマスクを着けたままという、不気味な光景です。
あまり知られていませんが、マスクをすることにはデメリットも多々あります。
口を覆ったまま呼吸すると、自分の呼気を吸いなおすため、吸気に含まれる酸素が少なく、二酸化炭素が多くなります。すると血中の二酸化炭素濃度が上がり、頭痛や、思考力・記憶力の低下、そして免疫力の低下という事態も起こります。ほかにも、自律神経系の不調、体温調節機能の低下、水分不足などなど、弊害を挙げるときりがありません。
「マスクなしの人は乗せない」!
そういうわけで、私は基本的にはマスクを着けないようにしています。ところがそのせいで、タクシーの運転手との間でちょっとしたトラブルになったことがあります。
乗車時に「マスクなしの人は乗せない」と言うので、仕方なくマスクを着けて乗ると、今度は「鼻が出ている」といって怒りだしました。
「基礎疾患があるからコロナがうつったら死ぬ」と彼は言い募るのですが、それはいったいどれくらいの確率でしょうか。タクシーの運転手という彼の仕事は交通事故で死ぬ可能性が常にありますが、それは怖くはないのでしょうか。
死なないにせよ、これからもそんな調子で客を乗車拒否していたら、売上が少なくなったり、クビにされたり、生活に困ったりするかもしれません。とくにマスク規制が緩和されてからはそうでしょう。その可能性は心配しなくていいのでしょうか。
生きている限り、人が危険な目に遭う確率はゼロにはなりません。死ぬ確率に至っては100%です。
ありとあらゆる危険のなかの、小さな一つだけを異様に拡大しているのが今の日本です。新型コロナは、不安から来る認知の歪みと、恐れから来る人の攻撃性を、まざまざと見せてくれます。