ぬるま湯を望む官僚たち…「研究者がやる気をなくす」日本の大学システムの落とし穴 (画像はイメージです/PIXTA)

ルネクリニック東京院院長である和田秀樹氏の著書『50歳からの「脳のトリセツ」 定年後が楽しくなる! 老いない習慣』(PHP研究所)からの抜粋転載でお届けする本連載。和田氏は、脳の老化は「前頭葉」から始まり、前頭葉が老化すると、脳全体が老化すると言います。それでは、どのようにすれば、私たちの前頭葉は衰えないままでいられるのでしょうか。本稿では「もっとも前頭葉が弱いのは大学教授」であると書かれた箇所について、その理由や背景を一部抜粋してお届けします。

 

「偉くなってしまえば論文を書かなくてよくなる」という問題

大学教授がもっとも前頭葉が弱いなどと言うと、「いくら何でも言い過ぎでは」と言われそうですが、決して誇張ではありません。

 

一般社会のビジネスパーソンと比べると、違いは明らかです。どのような職種であれ、ビジネスパーソンは成果を求められます。しかし大学教授は、偉くなりさえすれば成果など必要なくなります。

 

論文の本数も、自分の研究室のメンバーが書いたものに名を連ねるだけでなんとかなります。まったく書かない教授も珍しくありません。論文の本数が少なかろうとクビの心配はないのですから、定年まで楽に過ごせます。

 

ちなみに、理化学研究所などの研究者は、発表した論文の本数が評価の対象になります。評価が低ければ、職を失うことにもなります。研究者にとってはハードですが、大学のようなぬるま湯とは大違いです。

 

なぜ大学では、こうした決まりが設けられていないのでしょうか。それは、ぬるま湯でいてほしい人たちがいるからです。教授たちだけではありません。ぬるま湯を望む人は、大学の外側にも存在します。文科省や厚労省などの官僚たちです。

 

彼らは在任中や退官後に大学教授として再就職することをあてにしています。つまり、天下りです。官僚の天下りは国家公務員法で禁止されていますが、今も数々の抜け道があり、とりわけ大学は大きな受け皿となっています。「公募に応じて」という体裁をとりながら、実は前職の力にものを言わせて、論文を一本も書かずに教授に収まるわけです。

 

そんな彼らにとって、天下り先がハードな環境になるのはもっとも避けたいところ。将来の自分の首を絞めるような決まり事をつくるはずがないのです。

 

この思惑がある限り、大学のぬるま湯環境は変わらないでしょう。逆に言えば、大学への天下り規制が強化されれば、日本の研究環境も少しは向上するかもしれません。

 

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    ルネクリニック東京院 院長

    1960年生まれ。
    東京大学医学部卒業。
    東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカカール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、「和田秀樹こころと体のクリニック」を開院。
    30年以上にわたって高齢者専門の精神科医として高齢者医療の現場に携わる。
    『自分が高齢になるということ』(新講社)、『年代別医学に正しい生き方 人生の未来予想図』(講談社)、『六十代と七十代 心と体の整え方』(バジリコ)、『「人生100年」老年格差』(詩想社)『70歳が老化の分かれ道』(詩想社)、『80歳の壁』(幻冬舎)など著書多数。

    著者紹介

    連載『50歳からの「脳のトリセツ」 定年後が楽しくなる! 老いない習慣』

    50歳からの「脳のトリセツ」 定年後が楽しくなる! 老いない習慣

    50歳からの「脳のトリセツ」 定年後が楽しくなる! 老いない習慣

    和田 秀樹

    PHP研究所

    脳の老化は「前頭葉」から始まり、 前頭葉が老化すると、脳全体が老化する。 ベストセラー著者が、前頭葉が衰えない習慣を指南! 前頭葉は意欲をつかさどる部位。 意欲が衰えると、頭を使わなくなるので、脳全体が衰えて…

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