若者世代の人口は減少トレンドへ突入
そんな状況の中、将来の会社を支える若者世代の人口は、減少へと向かいます。以前から指摘されていたことですが、22歳の総人口は2021年より減少トレンドに入ります(学校基本調査より)。そして、2040年には、就職希望者数が現在の年間約45万人規模から、約30万人になることが予測されています。3割以上減少するのですから、将来、労働人口としての「若者」世代の希少価値は上昇し、採用もいっそう難しくなっていくことは明白です。
一方、外国人労働者や、AI・ロボットで仕事を代替させる分野も多くなっていくことでしょう。そうなると、ますます日本の若者を、どんな目的で採用するのか考えなければなりません。
コロナ禍でも新卒採用を重視する企業は増加
リーマンショックのときには、世界的に経済が冷え込み、日本経済も不況が続き、新卒採用の凍結・縮小が相次ぎました。この不況から立ち直るまでに数年かかったので、採用を縮小した企業では、景気回復後に20代中後半~30代前半の人員が不足し、業績の拡大が遅れたり、急遽、中途採用を行ったりするケースが目立ちました。
現在でも、リーマンショックのときに急激に採用を絞った企業では、若手の育成やプロジェクトリーダーの役割を担える中堅社員の不足に頭を痛めていると耳にします。
2022年卒の採用予定数は2021卒と比較して、「増やす」と回答した企業が全体で2割を超えています。「前年並み」と合わせると86.2%と採用意欲は高い傾向にあります。
企業が大幅な採用抑制を避けようとしているのには、2つの理由があると私は推測しています。1つ目の理由は、21年卒採用はコロナ禍での対応となり、人材獲得に苦戦した企業が多かったこと。そして2つ目の理由は、一部の年齢層が極端に少なくなって人員構成の歪みを生んだリーマンショック後の就職氷河期の反省があるからです。
コロナ禍を追い風に、好業績が見込まれるIT業界や、売り手市場のなかで採用に苦しんでいた中小・ベンチャー企業では、「10年ぶりにやっと来た採用のチャンス」と捉え、積極的な採用を計画するところもあります。
近藤 悦康
株式会社Legaseed
代表取締役CEO