(※写真はイメージです/PIXTA)

多くの企業が新型コロナウイルスの影響で経営に打撃を受けました。しかし、リーマンショックのときにみられたような企業の大幅な採用抑制は避けられていると、600社の企業に新卒採用などの組織変革コンサルティングを実施する株式会社Legaseedの近藤悦康代表はいいます。なぜなのでしょうか、みていきます。

 

データから紐解く採用状況

中途、新卒採用の市場の変化を捉え、特に中小・ベンチャー企業がゴーイング・コンサーンを果たすために欠かせない、学生の考え方や行動の変化を紐解きます。さまざまなデータを引用しながら採用状況の変遷について考察していきますので、優秀な人材を獲得するためのこれからの採用戦略作りのヒントにしてください。

 

リーマンショックと新型コロナウイルス…それぞれの有効求人倍率

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[図表1]求人、求職及び求人倍率の推移(パート含む)出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」(2021年4月)

 

2008年にリーマンショックが起こったあとの有効求人倍率は、「0.5倍」前後まで落ち込みました(2009年)。「有効求人数」が少なく「有効求職者数」のほうが多い状況でした。

 

現在の状況はどうでしょうか。新型コロナウイルスによるパンデミックが起こる前の2019年の平均有効求人倍率は「1.60倍」と高水準でした。しかし新型コロナウイルスの感染拡大が続いた2020年9月には「1.03倍」と急下降しました。

 

とはいえ、リーマンショックのときのような、求人数よりも求職者数が多いという逆転現象にまではなりませんでした。その要因はいくつか考えられますが、新型コロナウイルスによる景気悪化に対処するため、世界各国が財政出動を行い、市場に大量の資金が流入したことも1つです。その額は、2020年末で、約14兆ドル(約1400兆円)にも達しています。

 

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[図表2]有効求人倍率の推移(パート除く、季節調整値)出典:厚生労働省「有効求人倍率(パート除く)季節調整値/ 一般職業紹介状況」(2021年11月)

 

日本でもコロナ対策予算は200兆円にも上り、世界第2位の規模の財政出動が行われています。手厚い資金繰り支援策で、2020年の企業の倒産件数は7773件(東京商工リサーチ調査)と、過去50年間で4番目の低水準となりました。この時点でコロナ関連での倒産は792件でしたが、2021年8月末時点では2000件に迫り、2021年の総倒産件数は1万件を超えるとも予測されています。それでも、リーマンショックや30年前のバブル崩壊のときに比べると少ない数字です。

 

私も、中小企業の経営者ですので、この2020年から2021年のあいだでコロナ関連支援策の融資や助成金で数億円を調達することができ、事業継続のためだけでなく、未来に向けた投資を積極的に行うことができました。

 

2021年は新型コロナの感染拡大なども続き、日本のGDPは落ち込みましたが、日銀短観による大企業の景気判断は、製造業だけでなく非製造業でもプラスへと大きく回復しています。いまは新型コロナ感染が抑えられていることから経済活動再開が進み、中堅・中小企業も持ち直しつつあります。

 

2022年は、経済活動の正常化に伴い、雇用の回復も本格化するでしょう。状況は刻々と変化していきますが、いずれにせよ経営者は未来を見据え、事業を発展させられる人材を確保する努力を続けなければなりません。

 

次ページ減少する若者世代の人口…新卒採用はどうなる?

本記事は、近藤 悦康氏の著書『99%の会社が知らない「超・デジタル採用術」オンラインでも応募者の心は「見える化」できる!』(徳間書店、2022年1月29日刊)から一部を抜粋し、再編集したものです。

99%の会社が知らない「超・デジタル採用術」 オンラインでも応募者の心は「見える化」できる!

99%の会社が知らない「超・デジタル採用術」 オンラインでも応募者の心は「見える化」できる!

近藤 悦康

徳間書店

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