成績優秀な営業マンが突然入院した結果…「どこの企業にも起こりうる悲劇」とは?

成績優秀な営業マンが突然入院した結果…「どこの企業にも起こりうる悲劇」とは?
(写真はイメージです/PIXTA)

情報を統合的に各ツールに使用していく連携ができる「業務統合システム」。企業はこのシステムを利用し、DXを推進することで業務効率化や売上利益拡大を見込めます。今回は、この業務統合システムを導入していたのにもかかわらず、成績優秀な営業マンが突然入院した結果、悲劇に陥った事例を中心にみていきます。

 

顧客情報は部署内で誰でも見られるようにする

業務統合システムの活用において、その中に情報を集約し、その情報を有効活用するという点では、リードは欠かせない集約要素となります。リードは、いわば、お客様カルテのようなものです。

 

何かしらの治療や診察で病院へ行くとしましょう。過去に通院していれば、その病院には必ず自分のカルテがあるはずです。通院する病院を替えない限り、そのカルテにはさまざまな症状の履歴が蓄積していくものです。医者は、その情報を総合判断して、最適な治療や投薬を選択していきます。通院する科が違っても、同じ病院であればカルテは共有されますから、患者に最適な処置をどの医者でも理解することができます。

 

もしもこのとき、その病院が一切カルテを作成せずにいたら、受診する私たちは、通院するたびに今までの病歴を説明しなくてはいけなくなるかもしれません。今までの病歴から、避けるべき薬を見極められずに、処方されてしまうかもしれません。

 

これと同じように、エンドユーザーと自社がどのように付き合ってきたかの情報を閲覧しながら相手と向き合うのと、まったく情報がない状態で相手と向き合う場合とでは、向き合い方やスタンスがそもそも違ってくるでしょう。また、労力においても、新規の相手から話を聴きだしていくほうが大変なはずです。

 

ですので、業務統合システムにおいて、このリードの活用は、絶対的に不可欠なものです。顧客情報が充実していることによって、設計や現場に近いところから、さまざまなメリットをお客様に提示できるからです。

リード化を怠ると…

例えば、他の現場での似たような事例を参考にして、新規のお客様に提案をするとしたら、質の高い提案につながりますよね。「こういう工事例も弊社ではやってきましたし、こういうケースへの対応も経験しています」と、エンドユーザーにお伝えすることによって、エンドユーザーが最適なものを選びやすくなります。

 

追加受注のユーザーに対しても、過去の工事の図面や写真から、もしくはどんな現場監督や職人がどんな作業をしたかの情報が残っていることで、重複した作業を省いて本当に必要な作業だけを提案できるようにもなります。ほかにも、既に情報が残っていることから、再度の現地調査の必要もなくなれば、前回の図面などを見て、再設計しなくていい箇所を判断できたりもします。徹底して無駄を省けるようになるわけです。

 

かたやエンドユーザーからしても、何度も同じ説明をしなくても済むわけです。ですので、業務統合システムは「リードに始まりリードに終わる」といっても過言ではないくらい、基本中の基本としてのリードが重要視されるのです。もしリードを入れていなかったら、業務統合システムを稼働させているとはいえ、思いがけない不便に見舞われることになります。

 

その最たる例が、ブラックボックス化です。ブラックボックス化とは、箱の中に大事なものが入っていると理解しているにもかかわらず、誰もその箱の中を見ることができないという現象です。例えば、次のような例があります。

 

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本記事は、小松延顕氏が監修した『10年後に生き残るための 建設DXの現在地 デジタル化で目指す持続する中小建設業』(サンルクス)から一部を抜粋し、再編集したものです。

10年後に生き残るための 建設DXの現在地 デジタル化で目指す持続する中小建設業

10年後に生き残るための 建設DXの現在地 デジタル化で目指す持続する中小建設業

小松 延顕

サンルクス

ウッドショックや石油値上げによる原材料費の高騰。人口減少による慢性的な人手不足や2024年に迫る働き方改革の実現など、中小建設業を取り巻く経営環境は厳しさを増す一方です。その解決のため「DX=デジタルトランスフォーメ…

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