「ベンダーロックイン」には要注意
最悪の場合はシステムそのものを捨てることに…
さて、業務統合システムを開発・構築するとき、陥りやすいシチュエーションがあります。俗にベンダーロックイン(囲い込み)と呼ばれるものです。ベンダーロックインとは、端的にいうと、システム開発会社(ベンダー)以外の業者に、乗り換えやメンテナンスなどの依頼がかけられないように制約(ロックイン)される状態のことです。
例えば、A社に業務統合システムの開発を依頼したとします。このとき、A社でしか取り扱えない開発様式を用いられてしまうと、その後、A社からB社に業務委託を変更したい場合でもB社では対応できないということが出てきます。システムのメンテナンスはもちろんのこと、カスタマイズなどもA社に依存しなくてはならないため、仮にベンダー側が値上げに踏み切ると「値上げを受け入れてシステムを使い続ける」か「システムそのものを捨てる」かという二者択一を迫られることもあります。
後者の場合はゼロからの再構築になりますので、莫大な再開発コストがかかってしまうのはいうまでもありません。もっとひどい場合には、その開発会社の経営が倒産などによってストップした場合、後継できないわけですから、自社のシステムを将来的に保障してもらうこともできません。まさに生ける屍となってしまいます。
実はこうしたベンダーロックインが、業務統合システムの界隈における社会問題として浮き彫りになってきており、問題に巻き込まれないためにも、良心的なシステム開発会社に依頼するということを念頭に置きたいものです。
もっとも、あまりに自由競争にしすぎると、安易な価格競争や付帯サービスの競争に陥ってしまい、システム開発会社側も継続的な提案ができなくなるデメリットが出てきます。そのバランスをうまく保ちながら、あくまでオープンでありながら、長期的にお付き合いする工夫がシステム開発会社側にも求められます。ではどのような場合にベンダーロックインに陥りやすいのでしょうか?