(※写真はイメージです/PIXTA)

中国の解放軍に所属する科学者が、所属・身分を偽って、日本などの大学で研究活動をおこなっていて、技術や知識を中国にもち帰り、解放軍の武器等の開発に活用しているといいます。元・陸上自衛隊東部方面総監の渡部悦和氏が著書『日本はすでに戦時下にある すべての領域が戦場になる「全領域戦」のリアル』(ワニプラス)で解説します。

人民解放軍の技術者が潜入している?

■防衛省への協力を拒否するが、中国とは協力する日本学術会議

 

●日本学術会議のダブルスタンダード

日本学術会議は、防衛省への協力に否定的な立場をとっているが、日本学術会議のHPには〈平成27年9月7日、中国科学技術協会(中国・北京)において、大西隆日本学術会議会長と韓啓徳中国科学技術協会会長との間で、両機関における協力の促進を図ることを目的とした覚書が締結されました。〉と中国との協力促進をおこなっていることを明らかにしている。

 

各種報道では、東京大学、東京工業大学、慶應義塾大学などは、5Gで有名な中国企業ファーウェイから研究費や寄付などの資金提供を受けたことが明らかになっている。ファーウェイは、解放軍と関係の深い企業であり、日本の大学の技術が解放軍の兵器開発などで使われている可能性がある。

 

以上の事実は、日本学術会議および日本の大学が防衛省の事業には協力しないが、解放軍と密接な関係にある中国企業や中国科学技術協会とは協力していることを示している。日本学術会議の大きな問題点である。

 

●甘利明議員の日本学術会議批判

自民党の論客である甘利明議員は、自身の「国会リポート第410号」で以下のように書いている。

 

〈日本学術会議は防衛省予算を使った研究開発には参加を禁じていますが、中国の「外国人研究者ヘッドハンティングプラン」である「千人計画」には間接的に協力しているように映ります。

 

(中略)そして研究者には千人計画への参加を厳秘にする事を条件付けています。中国はかつての、研究の「軍民共同」から現在の「軍民融合」へと関係を深化させています。つまり民間学者の研究は人民解放軍の軍事研究と一体であると云う宣言です。軍事研究には与しないという学術会議の方針は日本限定なんでしょうか。そもそも民生を豊かにしたインターネットが軍事研究からの出自に象徴されるように、機微技術は現在では民生と軍事の線引きは不可能です。更に言えば、各国の学術会議は時の政府にシンクタンクとして都度適切なアドバイスをしています。

 

(中略)学術会議には日本の英知としての役割が期待されます。政権の為ではなく国家の為にです。〉

 

●日本の大学にも解放軍の科学者が所属・身分を偽って在籍している可能性がある

 

オーストラリアの著名な研究所「オーストラリア戦略政策研究所」(ASPI)が「外国で花を摘み、中国で蜜を作る(Picking flowers, making honey)」という衝撃的なリポートを発表している。

 

このリポートによると、解放軍に所属する科学者が、所属・身分を偽って、日本などの大学で研究活動をおこなっており、技術や知識を中国にもち帰り、解放軍の武器等の開発に役立てている。

 

そして、2007年から海外に派遣された解放軍の科学者数は、米国と英国に各500人、オーストラリアとカナダに各300人、ドイツとシンガポールに各100人以上であり、さらに数百人がオランダ、スウェーデン、日本、フランスに派遣されたという。

 

解放軍兵士の所属先としてもっとも有名なのは国防科技大学で、軍の科学技術大学としては中国最大である。国防科技大学は、50以上の国や地域の100以上の大学(ケンブリッジ大学、ハーバード大学など)や研究所との関係を確立している。

 

かつて反自衛隊感情が強かった時代に、自衛官が日本の大学院で修士課程や博士課程での研究を希望しても拒否されることが多かった。これは、日本学術会議の「軍事目的のための科学研究を行わない声明」が大きな影響を与えている。

 

しかし、日本の大学が解放軍の科学者を受け入れているとしたら大きな問題である。日本の大学や日本学術会議は、解放軍科学者が所属や身分を偽って在籍していないかどうかを調査し、調査結果を公表すべきである。

 

■日本における機微技術管理を強化せよ

 

米国の輸出管理(とくに最先端技術に関するもの)と外国資本による対米投資への規制は強化されている。

 

一方日本は、安全保障に関する管理を外国為替および外国貿易法(外為法)に基づきおこなっているが、米国のようなきめ細かさはない。さらに日本のアカデミアから機微技術が中国に流出している可能性は高い。その意味で日本の技術情報管理は甘すぎる。

 

中国などの各種工作(サイバー・スパイ活動、会社・大学からの知的財産の窃取、日本企業の買収など)に有効に対処するのは難しい状況だ。「スパイ天国日本」の汚名を返上すべきだ。

 

そのためには、憲法第九条の改正とスパイ防止法の制定は急務であり、日本の防諜機関の充実、サイバー安全保障体制の確立も急務である。さらに、米国の輸出管理や投資管理を参考にした法令の整備も急務になっている。

 

渡部 悦和
前・富士通システム統合研究所安全保障研究所長
元ハーバード大学アジアセンター・シニアフェロー
元陸上自衛隊東部方面総監

 

 

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