(※写真はイメージです/PIXTA)

定年を控えて老後の生活について考える人のなかには、「終の棲家をどうするか」迷っている人も少なくありません。ライフステージの変化に伴って利便性が低下した我が家、「買い替え」か「大規模なリフォーム」か……いずれにしても大きな出費であることに変わりはなく、不安要素は尽きません。そこで、マンショントレンド評論家として数々のメディアで発信を行う日下部理絵氏が、事例をもとにリフォームで注意すべきポイントを解説します。

3ヵ月半のリフォーム…間取りは「3LDK+WIC」に

約3ヵ月半後、無事に工事は終わった。見積もり取得や設計などをあわせると半年以上かかったが、部屋は見違えるほど明るくキレイになった。それぞれ部屋の広さは変わったものの、間取りは3LDKのままである。

 

リフォーム業者からは2LDK+Sもすすめられ、最後まで悩んだ。Sとは、サービスルームのこと。

 

リビング近くの和室は洋室に変更、リビングを少し小さくしたことで、真由美さんが希望する広さの部屋ができた。もともとの真由美さんの部屋は、広さは変えずウォークインクローゼットを設置し、正さんの趣味の小部屋となった。

 

WICと略され、糸井家の正式な間取りは、「3LDK+WIC」となった。WICは荷物だけでなく、なかに作業机も設置したので、こもりながら作業をすることもできる。

 

洋子さんの希望通り、食洗機付きのシステムキッチンに交換した。浴室とトイレもリニューアルし、浴室の追い焚き機能や浴室乾燥機、トイレのフタや便座の自動開閉機能を付けた。

 

また玄関からベランダまで段差のないバリアフリーにすることができ、各部屋はスッキリとした環境に仕上がった。それは階高があり二重天井・二重床の構造だったため、配管設備などを空間に収納できたことが大きいという。

 

これで結愛ちゃんが歩き回っても大丈夫だし、老後も安心である。

 

リフォーム費用「すべて現金払い」のワケ

約680万円の費用に関しては、すべて現金で支払った。当初は300万円は現金で支払い、残りは住宅ローンの残債がある金融機関で固定金利1.8%、返済期間7年間の無担保ローンを借りる予定だった。

 

その時のシミュレーションによると毎月の返済額は5万円。そして定年後に退職金で住宅ローンの残債とあわせて繰り上げ返済しようかと思っていたのだが、リフォーム費用も所得税控除になると聞いて全額現金で支払うことにしたのだ。

 

リフォーム後、キッチンが新しくなったからなのか、洋子さんの機嫌がいい。洋子さんと真由美さんで料理する機会が増え、料理の品数も増えた。正さんも女性ばかりのわが家に男の隠れ家ができたことを誇らしく思っている。

 

まもなく迎える定年後には、思う存分この部屋で趣味に没頭したいと正さんは思った。

 

 

日下部 理絵

マンショントレンド評論家

オフィス・日下部 代表

 

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※本連載は日下部理絵氏の著書『60歳からのマンション学』(講談社+α新書)から一部を抜粋し、再編集したものです。

60歳からのマンション学

60歳からのマンション学

日下部 理絵

講談社

私たちは、本当にマンションを終の棲家にできるのか? 2030年、分譲マンション約780万戸のうち、築30年以上が過半数を超える。現在、安全・安心・快適なマンションへの永住指向が強まる一方、自らの老いとマンション老朽化…

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