機械式駐車場のせいで「破綻寸前」のマンション管理組合…年間収支「100万円」改善した66歳・理事長の英断 (※写真はイメージです/PIXTA)

マンションの駐車場に空きが生じると、管理組合の収支バランスが崩れてしまいます。収支を健全な状態にするには、外部駐車場の利用者を呼び戻したり、駐車場使用料やルールを見直したり、効果的な解決策が必要です。66歳で管理組合の理事長となった陣内隆さん(仮名)は、「空き駐車場問題」に対してどのような対策をとったのでしょうか。みていきましょう。

アンケートでわかった住民の「不満と要望」

【空き駐車場問題に理事長として奮闘する陣内隆さん(仮名)】

・物件概要…3LDK 81.08m2/10階建て4階/築32年54戸/最寄り駅 徒歩6分
・家族構成…夫66歳、妻62歳の2人暮らし、子供は独立
・問題概要…機械式駐車場の修繕費用が管理組合の財政を圧迫しており破綻寸前

 

「今後も駐車場を利用したい」50%以下…なぜ?

次の理事会で、フロント担当者から「駐車場について」アンケートの集計結果が出たと報告があった。

 

54戸中34戸より回答があった。一見低い数字に見えるが、他のアンケートに比べると回収率がよいという。管理会社の担当が何度も呼びかけをしてくれたこともあるが、駐車場への関心の高さが窺える。

 

アンケートでは、駐車場使用料が管理組合の収入になっていること、約30%の空きが出ていて収支に影響していることなど現状を簡潔に説明したうえで、駐車場使用者に、今後も使用するか意向を聞いたところ、1~2年程度では80%を超えたが、それ以上となると、わからないという回答を含めて50%を切るという恐ろしい結果になった。

 

理由として、

 

□車の買い替えを検討しており車種がいまの区画にあうかどうか
□最近乗らないのでレンタカーやカーシェアリングを検討中
□数年先に免許返納を予定 など

 

一方で車を所有しており、外部に駐車場を借りている人が一定数いることもわかった。理由は、

 

□マンション内に空き駐車場があることを知らなかった
□ハイルーフ車だから入らない
□聞いたら空き区画は地下のみだった。冠水リスクを考え平面式が希望だが、同じ人が借り続けていることに不公平を感じる

 

と最新の空き情報が伝わっていないこと、駐車サイズがあわないこと、駐車場運営ルールへの疑問も見られた。

 

外部駐車場の使用者に、今後マンション内の駐車場の使用についても聞いた。

 

□収支状況に貢献できるなら借りたい。空き状況を詳しく知りたい
□いま借りている駐車場は、夏日に車内温度が高くなり大変。地下で区画サイズがあうなら
□出し入れに時間がかからない区画なら

 

などの意見があった。

 

さらに駐車場について、自由に意見を求めたところ

 

□原則1住戸1台というルールを撤廃して欲しい
□バイク置場が欲しい
□来客用からも使用料をとったらどうか
□子供などのイタズラを見回りして欲しい
□家族に車椅子使用者がおり、エントランスに車を横付けできるようにするか、ゆとりある平面駐車場をバリアフリー用にして欲しい
□我が家では誰ひとり車に乗らない。なのに駐車場の負担をしなければならないのか

 

などの意見が寄せられた。

 

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    マンショントレンド評論家/住宅ジャーナリスト/オフィス・日下部
     オフィス・日下部 代表

    第1回マンション管理士・管理業務主任者試験に合格。

    管理会社勤務を経て、「オフィス・ 日下部」を設立。管理組合の相談や顧問業務、数多くの調査から既存マンションの実態に精通する。また穴場の街ランキングや新築マンション情報などのマンショントレンドでも見識が深い。さらにマンション管理員を中心とした10,000人以上のシニアを再就職へ導くなど、高齢者の住まいと働き方にも豊富な知識を持つ。
    ヤフーニュースへの住宅記事掲載は300回以上。テレビ・ラジオなどのメディア、講演会・セミナーでも活躍中。最近ではテレビ朝日系列、松本潤主演ドラマ「となりのチカラ」のマンション分野の監修を務める。
    著書に『マイホームは価値ある中古マンションを買いなさい!』(ダイヤモンド社)、『60歳からのマンション学』(講談社+α新書)、『「負動産」マンションを「富動産」に変えるプロ技』(小学館)、『すみません、2DKってなんですか?』(サンマーク出版)ほか多数。

    著者紹介

    連載マンション管理士が解説!60歳から考えるマンションの「リノベーション」

    ※本連載は日下部理絵氏の著書『60歳からのマンション学』(講談社+α新書)から一部を抜粋し、再編集したものです。

    60歳からのマンション学

    60歳からのマンション学

    日下部 理絵

    講談社

    私たちは、本当にマンションを終の棲家にできるのか? 2030年、分譲マンション約780万戸のうち、築30年以上が過半数を超える。現在、安全・安心・快適なマンションへの永住指向が強まる一方、自らの老いとマンション老朽化…

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