(※写真はイメージです/PIXTA)

自宅マンションを売却する際、室内はリフォームすべきか、それとも現況のままでいいのか……きれいな見栄えのほうが高く売れそうだと思いがちですが、中途半端な「思いやりリフォーム」はするべきでないと、マンショントレンド評論家として数々のメディアで発信を行う日下部理絵氏はいいます。いったいなぜなのか、詳しくみていきましょう。

マンション売却前の「思いやりリフォーム」はするな

自宅マンションを売却しようと思った時、室内はリフォームすべきか、現況のままでいいのか、悩む人も多いのではないか。

 

結論からいうと、業者並みのリフォームやリノベーションができるならするべき。しかしお金や手間暇をかけて、中途半端なリフォームをするなら、かえって損をする可能性が高いためやめておいたほうが無難である。

 

もちろん、内装や設備が古いものより、キレイな物件のほうが買い手への印象は良く売れやすい。

 

実際に、あなたが中古マンションの購入を検討しているとして、SUUMOなどの不動産ウェブサイトに、同じマンション内で、リフォーム済みの物件とそうでない物件が同じ価格で並んでいたとする。まずはリフォーム済みを選ぼうとするのではないか。

 

しかし、内見して室内が好みではなかった場合、選択肢から外すであろう。つまり、買い手のニーズに合わないリフォームは、せっかくの見込み客が候補から外してしまう、というリスクがある。

 

また、購入を検討している人の中には、そもそも購入後に自分好みにリフォームを検討している人もいる。

 

リフォーム前提で購入を考えている人にとってあなたのリフォームは、「余計なお節介」になるケースが高く、むしろ現況で安く物件を手に入れられるほうがありがたいであろう。

 

さらにフルリフォームには、数百万円の費用がかかる。その費用を回収するには、実際にリフォームでかかった費用を販売価格に上乗せしなければならない。もしその価格が相場より高いと売りにくくなり、結局損をしてしまう可能性がある。

 

たとえば400万円のリフォームをしても、それより高く売れる保証はない。せめてもと100万円の部分リフォームをしようとすると、中途半端なリフォームになりがちである。

 

また都心部を中心にすでに中古マンションの価格が高騰しているいま、買う側からするとなんとか予算内で納めるため、まずは一次審査として「価格」に注目して物件を探す人が多い。

 

そして予算にあう物件の中から、購入する物件を選ぶ。リフォーム費用が販売価格にのると一次審査で落選してしまうことがある。

 

なかにはフルリノベーション済みの業者売主物件を見かけることがある。これは不動産屋やリフォーム業者などが買い取り、リフォームを施してから、再販売している物件である。

 

じつは不動産屋などのプロは、一般の人が行うより安くリフォーム工事ができる。プロ専用のリフォーム業者を使っていたり、リフォーム業者なら自ら行ったり、年間に何十件もリフォームを発注するため、原価を抑え安価に工事ができる。

 

このように原価を抑えたリフォームが可能なら、販売価格に上乗せするリフォーム代も安価になり利ざやも得られる。しかし一般の売主は、高い原価でリフォームを行わざるを得ないため、販売価格も高くなってしまう。

 

というわけで、リフォームは自分が住む部屋に施すのはいいが、他人が住む部屋に自己判断で安易なリフォームをするのは、お金も時間も無駄になってしまうだけでなく、リスクを背負う可能性があるのでやめておいたほうがいいという結論になる。

 

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※本連載は日下部理絵氏の著書『60歳からのマンション学』(講談社+α新書)から一部を抜粋し、再編集したものです。

60歳からのマンション学

60歳からのマンション学

日下部 理絵

講談社

私たちは、本当にマンションを終の棲家にできるのか? 2030年、分譲マンション約780万戸のうち、築30年以上が過半数を超える。現在、安全・安心・快適なマンションへの永住指向が強まる一方、自らの老いとマンション老朽化…

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