(※写真はイメージです/PIXTA)

無断欠勤、経歴詐称、ハラスメント行為など、問題のある従業員を解雇したいと思っても、正当な理由をもとに解雇予告をしていないと無効になってしまうケースは多くあります。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、「懲戒解雇の注意点」について西明 優貴弁護士に解説していただきました。

懲戒解雇をするには、本人の同意書が必要?

相談者は、ある従業員を懲戒解雇したいと思っています。その従業員から、4ヵ月前に「適応障害なので休職をしたい」と申し出がありました。

 

しかし会社の就業規則に休職規定がないことから認められず、退職を進めましたが特に本人から退職の意思表示はありませんでした。

 

それから4ヵ月間、ずっと連絡がとれない状態が続いています。さらに年末調整時に、履歴書記載の会社とは違う前職の源泉徴収票が送られてきて、経歴詐称の疑惑もでてきました。

 

ハローワークに問い合わせをしたところ、「懲戒解雇をするには懲戒解雇通知書だけでなく本人の同意書が必要」といわれましたが、連絡が取れないので同意がもらえない状況です。

 

そこで、相談者はココナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点について相談しました。

 

  1. この従業員を懲戒解雇にすることは可能か?
  2. 懲戒解雇が認められるための必須条件や、使用者側が気をつけることはあるか?

本人の同意書は懲戒解雇の条件ではありません!

【結論】


現時点においては、懲戒解雇は無効とされる可能性があります。

 

【理由】


精神的不調を理由として無断欠勤を継続する従業員に対し、懲戒処分の可否を検討するにあたっては、無断欠勤の回数・期間、経緯・理由、業務への支障の程度、使用者の懲戒処分前の対応・手続の有無・内容等を総合的に考慮します。

 

ハローワークのご担当者は同意書が必要と説明したようですが、同意書は、これらの総合考慮をするにあたっての一つの要素として位置づけられるものの必要(必須)条件ではありません。

 

さて、本件では、従業員は適応障害であると申告していますが、その客観的裏付けがありません。このような状況下で、退職勧奨をしてその後連絡が取れないからといって、懲戒解雇に強硬に推し進めるのはお勧めできません。

 

会社としては、懲戒解雇について一旦クールダウンしていただき、まずは医療機関への受診の有無等について、従業員からヒアリングしましょう。そして、受診していれば診断書等の客観的資料の提出を求め、受診していなければ医療機関での受診を求めるところから始めましょう。

 

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