知人から話を持ちかけられ、FX投資詐欺の被害に
相談者のKさんは、個人間で投資詐欺に遭い、返金請求をしたいと考えています。
以前Kさんは、知人がFXの運用代行をしてくれるとのことで、出資契約書を交わしたうえでお金を渡しました。その出資契約書には「事業を廃止する場合は全額を遅延なく返金する」と書いてあります。いわゆる元金保証です。
その後数ヵ月はLINEで報告がきていて、「利益も出ている」と伝えられていましたが、運用について実際運用に関する資料は何ら送られてくることはありませんでした。
しかし現在知人は音信不通になり、行方がわからない状態です。調べたところ、Kさんの他にも数人同様の被害者がいることがわかりました。
この件についてKさんは警察に相談しましたが、「最初から詐欺目的なのか、投資をしていて資産を無くしたのかはわからないので、被害届は出せない」と言われました。また本件が詐欺だった場合は、差押えしてその分を被害者間で分配する旨を伝えられています。
Kさんとしては警察に逮捕してほしいわけではなく、知人の居場所を突き止めて返金請求の交渉をしたいと思っています。
そこでココナラ法律相談「法律Q&A」に次の4点について相談しました。
- 仮に相手に資産がなくても返済請求はできるのか。
- 出資契約書の内容から、請求に応じないことに対し罰を問うことは可能か。
- Kさん自身が弁護士に依頼し、返金してもらえることになった場合、他の被害者と分配になるのか。
- Kさん以外の被害者も弁護士への依頼を検討しているが、別々に依頼した場合各々訴訟する形になるのか。
FX投資詐欺に関する返金までのプロセス
刑事か民事かの選択
投資詐欺に関するアプローチは、まず、民事でアプローチをするか、刑事でアプローチをするかという検討から入ります。結論から言うと、詐欺等の証拠がしっかりある場合を除いては民事的なアプローチでの解決を目指すことになります。
FXに関する投資詐欺は、①集団投資スキームとして第二種金融商品取引業として、内閣総理大臣の登録を受けなければならないにも関わらず、これをしていない金融商品取引法違反、②存在しない事業をあるとして投資を募る刑法上の詐欺罪、③元金保証をして投資を募る出資法違反により刑事事件を検討することが一般的です。
しかしながら、これらの立証のハードルは高く、警察も捜査については非協力的です。一般的には、契約書の存在だけでは刑事手続きは進められません。
また、一般的に警察は基本的には自らの仕事を増やしたくないと考えるため、話は聞くけれども、何かしら断る理由を考えて事件の受付を事実上拒否します。一般市民に、警察に告訴の受理を強制する手段はなく、事実上泣き寝入りになります。警察は「一応相談だけは受け付けますね」と対応して、相談者を帰らせてそのまま事件を塩漬けにします。
このような、警察がある意味犯罪の取り締まりを懈怠して犯罪を助長している実務上の実態があるため、投資詐欺の対応は民事の対応によらざるを得ない現状があります。
後述するように、相手に支払い能力がないと思われ、それでも社会的制裁を与えたい場合には刑事の検討もすることになります。