(写真はイメージです/PIXTA)

勤務態度が悪い、協調性がない、トラブルばかり起こす……会社として更生してもらうよう努力を続けても一向に変わらない「迷惑社員」が社内にいた場合、スムーズに辞めさせることは可能なのでしょうか? Authense法律事務所の西尾公伸弁護士が「退職勧奨」のスムーズな進め方とトラブルを避けるための注意点について解説します。

退職勧奨をスムーズに進める「4つ」のプロセス

退職勧奨を行う際の進め方や流れは、次のとおりです。

 

1.弁護士へ相談する

企業が退職勧奨を検討する際には、あらかじめ労使問題に強い弁護士へ相談するとよいでしょう。なぜなら、退職勧奨が発端となりトラブルとなるケースが少なくないためです。

 

弁護士へ相談することで、その案件に沿った具体的な進め方のアドバイスを受けることが可能となります。場合によっては、面談の場に同席してもらうことも1つの選択肢となるでしょう。

 

また、万が一トラブルとなった際に、スムーズに対応してもらうことが可能となります。

 

2.従業員と個別に面談をする

退職勧奨をする際には、対象となっている従業員と個別で面談の場を設けます。他の従業員が大勢いる場や他の従業員に聞こえる場で退職勧奨の話をすることは避けましょう。

 

面談の場では、会社として退職を勧める旨を明確に伝えます。ただし、あくまでも退職するかどうかの選択権は従業員側にあることもはっきり伝えておくとよいでしょう。

 

併せて、退職勧奨の対象となっている理由も明示します。なぜなら、理由を示されることで、退職勧奨に納得しやすくなる可能性があるとともに、恣意的に対象者を選定して退職勧奨を実施しているのではないのかという疑念を払拭するためです。

 

3.従業員へ条件を提示する

退職勧奨の面談では、従業員へ退職勧奨に応じた場合の条件を提示します。たとえば、退職金を上乗せすることや、転職先をあっせんすることなどです。このように条件を提示し、退職の動機付けを設計することで、前向きな退職の実現を図ることができます。

 

提示をする条件は、あらかじめ弁護士へ相談するなどして、よく検討しておきましょう。

 

4.合意書を作成する

従業員が退職勧奨に合意した場合には、すみやかに合意書を作成し、従業員に署名と捺印をもらいましょう。

 

合意書には決まった様式はありませんが、最低限、次の事項は記載しておくべきです。

 

・退職勧奨に合意をする旨
・合意をした退職日
・退職金の額など、退職勧奨に応じる条件
・その他一切の債権債務がない旨

 

合意書は、万が一後にトラブルとなった際に重要な証拠となる書類です。他にも、秘密情報の不使用等の条項を設定しておくと、退職後のトラブル防止につながります。

 

そのため、不安がある場合には、あらかじめ弁護士に案文を確認してもらうとよいでしょう。

 

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本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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