(※写真はイメージです/PIXTA)

五大商社に勤務後、公益財団法人日本サッカー協会へ転職、様々な交渉の場を経験してきた松永隆氏の著書『ビジネスパーソンのための超実践的交渉術 ⽇本⼈の交渉のやり⽅』より一部を抜粋・再編集し、松永氏が経験した「商社での飼料の取引」、および取引から学んだ「交渉に役立つ情報の引き出し方、晒し方」をみていきます。

「何を」「誰から」聞き出せるか?

もう一つ情報収集において大事なのは誰から何を聞き出すのかということです。

 

前掲の相関図に登場する会社の方々には利害上、立場上、話せないことと、逆にいくらでも話せることがあります。

 

例えば、産地の原料メーカーは自分の在庫が重くなっているときにそのことは決して話したくありません。むしろ在庫があまりないふりをしたいでしょう。

 

買い持ち、売り越しをあまりしない国際ブローカーならば、産地在庫がどれぐらいあるかについてはぺらぺらと話してくれます。

 

一方日本の問屋の中でも買い持ち、売り越しをオペレーションとしてやっているところは需給に関して真実は話してくれないでしょう。つなぎ取引しかやらない問屋さんは気軽に知っていることを話しがちです。

 

配合飼料メーカーは自社の在庫については話してくれませんが、他のメーカーについての情報は話してくれます。またどこそこの輸入業者や問屋が買い持ち玉を大量に抱えていて四苦八苦しているというような情報はも話してくれます。

 

何を言いたいかというと、情報収集の厚みと精度を高めるには、誰が何を話してくれそうか判断して的確な人を選んで話を聞きにいくことが大切だということです。

 

話してくれそうにない人にいくら食い下がって聞き出そうとしても、相手を不機嫌にさせてしまいますしうかもしれませんし、場合によっては嘘の情報をつかまされてしまうかもしれません。また、もともとおしゃべりでつい話してしまう人もいますし、秘密主義の人もいます。

 

更に、マーケットの状況によっては普段おしゃべりなのに急に口が固くなる人も出てきます。結局誰が何を話してくれそうなのかを察知するには、それぞれの人のキャラクターと、その時々にその人がどのような状況に置かれているのか、どういう精神状態なのかを相手の立場に立って考える必要があるということです。

 

幸い私はこの実践トレーニングを20代の後半に集中的に経験させて頂きました。それ以来、どのような仕事であっても無意識のうちにそういうアンテナの立て方をして、人を選んで情報収集をしながら仕事に役立てるようになっていきました。

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※本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『ビジネスパーソンのための超実践的交渉術 ⽇本⼈の交渉のやり⽅』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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