(※写真はイメージです/PIXTA)

五大商社に勤務後、公益財団法人日本サッカー協会へ転職、様々な交渉の場を経験してきた松永隆氏の著書『ビジネスパーソンのための超実践的交渉術 ⽇本⼈の交渉のやり⽅』より一部を抜粋・再編集し、松永氏が経験した「商社での飼料の取引」、および取引から学んだ「交渉に役立つ情報の引き出し方、晒し方」をみていきます。

商社で「えさ原料の取引」を担当。利益を出すには…

私は20代後半商社でえさ原料の取引を担当していました。

 

一般の方にはそれほど実感はないかもしれませんが、日本はかなりの規模の畜産国で鶏、豚、牛の飼育農家は相当数あり、国民に消費される鶏肉、豚肉、牛肉、牛乳、乳製品、鶏卵の供給源として日本の食料自給率を維持する大事な産業です。

 

このような畜産農家のためにえさ(飼料)を配合、袋詰めして供給している配合飼料メーカーが、畜産業が盛んな地域にある輸入港近辺に飼料団地を形成しており、日本の畜産業を支えています。

 

〈現物商品の買い持ち、売り越し取引の経験で習得したもの〉

 

私にとって、今でも思い出深いのは、中国での研修を終えて帰国した私が穀物部飼料原料チームという部署に配属され、その頃に担当した海外産肉骨粉の輸入販売取引でした。

 

最初に上司から言われて多少驚いたのは、「この取引の場合、海外の原料メーカーから仕入れて同じタイミングで日本の配合飼料メーカーや問屋さんに売っていたのではトン当たり数ドルは損するよ」と言われたことでした。

 

その理由は、配合飼料メーカーや大手問屋の数に比べて輸入業者の数が多すぎ、過当競争の中で売るから買値よりも売値が低くなって損が出てしまうとのことでした。それでは何故わざわざ損する商売をするのかと思ったのですが、それは浅はかな考えでした。

 

上司曰く現物相場の上げ下げを予想して、上がると思えば先に買って上げ相場の中で配合飼料メーカーや大手問屋に売り捌き、下がると思ったら先にお客さんに売って、下げ相場の中で海外から買っていけば利益を出せるとのこと。要は相場観で勝負する商売であるとのことでした。

 

「はぁ~そういうもんなんだ!」と一応は納得しましたが、いざ商売を始めると全くうまくいきません。というのはお客さんたちも皆情報を収集して相場の上げ下げを予想しながら買い付けのタイミングを考え抜いていたからです。

次ページ昔の商社が“20代の若造”に任せていたリスクの高い商売

※本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『ビジネスパーソンのための超実践的交渉術 ⽇本⼈の交渉のやり⽅』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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