(※写真はイメージです/PIXTA)

就職活動で有名な採用基準に、「学歴フィルター」が存在します。特に大学生の新卒採用では、候補者を短期間で大量募集するため「大学でふるい落とす」という目的のために使われてきました。人事コンサルタントの曽和利光氏が著書『人材の適切な見極めと獲得を成功させる 採用面接100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

「学歴フィルター」は有効ではないのか?

■学校歴より学習歴、大学教育の今

 

採用(就職)活動で有名な採用基準に、「学歴フィルター」があります。特に大学生の新卒採用では、中途採用のように職歴がないことや候補者を短期間で大量募集する性質上、「集めたけど採る気の薄い候補者を在籍している学校でふるい落とす」という効率化のために使われてきました。

 

モラルの是非はともかくとして、これが合理的に行われてきた大きな理由に、日本の大学が「入難出易(入学は難しいが卒業は容易)」と見なされていることがあります。そこから転じて、入試で努力して入ったであろう高い学校歴=優秀と評価を結び付けやすかった背景ができたのです。

 

しかし、「学校歴」によるフィルタリングは、実のところそれほど効率的ではありません。同じ学校に通う学生間で内外の試験結果には大きな幅があることも多く、在学校名で個人の能力が保証されているわけではないからです。また、他の会社も同じようにフィルタリングすれば、採用競争が激しい候補者たちだけが残り、その後の採用難易度や辞退のリスクを高めることになります。

 

そこで最近では、GPA(Grade Point Average)がフィルタリングとして注目されてきています。GPAとは大学の各科目の成績平均のことで、注目されてきた背景として、近年進められてきた「シラバス厳格化」があります。大学の授業が「人材育成につながっていない」との各方面からの批判を受け、「きちんと授業に出て、知識やスキルを身につけないと単位にならない」授業内容や成績評価方法などへ変わってきているのです。これにより、現在の学生にとって授業は出なければならない「義務」となっているのです。

 

つまりGPAとは、目の前のやらなくてはならない義務に対し、学生がどのように取り組み、どのような結果を出しているかを評価したものとも言えます。

 

学生が高いGPAを取得するには、

 

•環境や課題に対して自分なりの目標を設定しセルフモチベートできる「意味付け力」

•やらなければならないことに対する「持続的行動力」

•テストやレポートなどアウトプットを想定し教員や授業の意図を俯瞰的に理解する「知的能力」

 

などの、会社が求めたがる素養が必要です。GPAは、人材を測る尺度として、より健全で機能しやすいフィルタリングと言えるでしょう。

 

ポイント
•学生をフィルタリングしないことは現実的には難しい。
•学校歴ではなく、学習歴として GPAが注目されてきている。
• GPA上位者は、会社が求めている素養を兼ね備えている。

 

曽和 利光

株式会社人材研究所 代表取締役社長

 

 

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※本連載は、曽和利光氏の著書『採用面接100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

採用面接100の法則

採用面接100の法則

曽和 利光

日本能率協会マネジメントセンター

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