(※写真はイメージです/PIXTA)

就職活動で有名な採用基準に、「学歴フィルター」が存在します。特に大学生の新卒採用では、候補者を短期間で大量募集するため「大学でふるい落とす」という目的のために使われてきました。人事コンサルタントの曽和利光氏が著書『人材の適切な見極めと獲得を成功させる 採用面接100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

近年人気の「スカウト型」採用とは?

■候補者を集めるより、適切なターゲットにしぼる

 

候補者をたくさん集めたのに入社に結び付かず、失敗する会社は多いです。がんばったのに成果が出ないのはなぜでしょうか。それは、間違ったターゲットに採用活動をしているためです。では、適切なターゲットをどう集めればよいのでしょうか。

 

近年、候補者集めが「オーディション型」から「スカウト型」へシフトしています。広告を出し、それを見た人が会社に応募するところから始まるのが従来の主流、オーディション型です。一方、候補者に会社からアプローチするのがスカウト型です。

 

オーディション型では候補者から応募してくれるので、あとは面接等を設定して評価すれば済みます。ただ、これは応募の見込める採用ブランドの高い会社なら有効ですが、知名度が低い会社では、応募してもらうこと自体が至難のワザです。

 

そうした事情から、スカウト型採用が取り入れられるようになりました。会社からアプローチするのでやや手間はかかりますが、広告だけでは来ない応募を待ち続けるより建設的です。加えて、声をかけてくれた会社に候補者は好感を持ちやすく、反応も悪くないことがわかってきたため、スカウト型は浸透しました。

 

スカウト型にはいくつか手法がありますが、社内リソースだけで手軽にはじめられるのがリファラル(「紹介」の意)採用です。社員や内定者に知人や後輩を紹介してもらい、接触していく方法です。新卒採用ではリクルーター制と呼ばれて昔からありましたが、最近は中途採用でも外資系企業やITベンチャーが取り入れはじめ、実効性の高さから広まっています。

 

この方法のネックは、実際のところ知人を紹介するハードルが高い点です。紹介した知人が選考で落とされるかもしれないわけですから、紹介者には精神的負担がかかります。効果的に行うには、紹介者を十分に動機付ける、紹介後は必ず会う、結果のフィードバックを怠らないなど、せっかくの紹介を大切にする丁寧な対応が必要です。

 

また、スカウトメディアという手法もあります。候補者が自分の情報をスカウトメディアに登録し、会社が検索して候補者に応募するので、「逆求人」とも呼ばれます。

 

活用のポイントは、人気の候補者ばかりを狙わないことです。属性や前職だけで検索すれば、誰もが狙う人材ばかりで採用競争が激化します。しかし、求める人物像から独自の検索キーワードを見つけられれば、他社と異なる人材にアプローチできます。また、候補者に合わせるスカウトメールを書くことも重要です。

 

このように、スカウト型は工夫さえすればブランドに関係なく、より自社に適した候補者を採用できるようになります。

 

ポイント
•スカウト型は、会いたい人に採用ブランドに関係なくアプローチが可能。

 

次ページ「学歴フィルター」は有効ではないのか?

※本連載は、曽和利光氏の著書『採用面接100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

採用面接100の法則

採用面接100の法則

曽和 利光

日本能率協会マネジメントセンター

採用活動における「面接」は、最もポピュラーな採用選考の方法です。 しかし、これほど普及していながら、「人材をきちんと評価できているか?」「うまくコミュニケーションは取れているか?」「内定を出しても辞退されやすいの…

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