(※写真はイメージです/PIXTA)

採用面接も最終面接となると、社長や役員といった「偉い人」が面接担当をするようになってきます。しかし、難しいのが、こういった「偉い人」が面接担当としては優秀とはいえないケースが多いといいます。人事コンサルタントの曽和利光氏が著書『人材の適切な見極めと獲得を成功させる 採用面接100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

名選手が名コーチになる、ワケではない

■仕事のできる理由を自覚しているかがポイント

 

あるイベントで某有名メガベンチャー出身の人とお話したことがあるのですが、そこで印象深い話がありました。それは、著名な敏腕創業社長が採用面接から外されているというものです。

 

その会社では、面接担当者ごとに面接時の評価と入社後の評価がどれだけ相関しているのかを調べたところ、なんと社長に「(採用面接では)人を見る目がない」ことがはっきりしたため、それを上申したところ、社長は面接から身を退かれたそうです。

 

「会社の高業績者(ハイパフォーマー)」が、よい面接担当者とは限らないのだと私が再認識したエピソードでした。

 

このような現象が起こる理由は、何かを実行できることと、それを形式知化(≒言語化)して、理解したり説明したり見極めたりすることとは違う、ということでしょう。

 

スポーツなどを考えれば当たり前かもしれません。どんなに素晴らしい成績を残したプロスポーツ選手でも、皆が引退後に名コーチとして評価されているわけではありません。また同様に選手のスカウトになったとしても、スカウトしたどの選手も大活躍というわけでもありません。自らやることと、他人に伝えてやらせることは異なる典型で、それは一般人でも同じということです。

 

では、なぜ高業績者は仕事ができても、形式知化が得意とは限らないのでしょうか?

 

それは、「無意識」で自分のタスクをこなせるようになっているからです。先ほどのスポーツ選手の例で言えば、彼らは若い頃から練習を重ねて体に動作を覚え込ませており、意識しないで自然とできるように訓練しています。彼らを評価する代表的な言葉に「センスがよい」というものがありますが、まさに才能を「感覚的」に備えた状態にしているのです。

 

では、彼ら高業績者は採用面接で不要かと言われればそれは違います。面接では、候補者を評価することだけではなく、候補者に自社を選んでもらうのも大事な役割です。候補者を惹き付けるには、自社やその業界で実際に活躍している人物を見せることが何よりも効果的です。三度スポーツ選手の例で挙げれば、憧れの選手を身近に感じてもらうようなものでしょうか。

 

彼らには見極めではなく、惹き付ける存在として面接に参加してもらいましょう。

 

•高業績者(ハイパフォーマー)が必ずしも面接が得意とは限らない。

•仕事ができるからといって、自分のできることを言語化するのが得意なわけではない。

•高業績者には候補者を口説く役割を担ってもらうのが効果的。

 

次ページ「偉い人」がインタビューをしてはいけない理由

※本連載は、曽和利光氏の著書『採用面接100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

採用面接100の法則

採用面接100の法則

曽和 利光

日本能率協会マネジメントセンター

採用活動における「面接」は、最もポピュラーな採用選考の方法です。 しかし、これほど普及していながら、「人材をきちんと評価できているか?」「うまくコミュニケーションは取れているか?」「内定を出しても辞退されやすいの…

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