実はトレーニングという点ではみな同じ
■③個性が売りの個人ジムは街場のバー
個人ジムは街場の個人経営のオーセンティック・バーに似ている。どちらもオーナーが、コンテストの優勝経験があるなど、個人の知名度が店の支え。トレーニング方法はジムによってまちまちだ。高重量、低回数のトレーニングで有名なジムがあるかと思えば、私が通う「SEIBUGYM」のようにオーソドックスが基本というジムもある。
ただし、パーソナルトレーニングでなければ初心者用の基本トレーニングは大きく変わらないと思う。
もちろん、会員になれば自分の好きな方法でトレーニングもできるし、疑問があればそのたびにアドバイスも受けられる。かつては専門的過ぎてやや敷居が高かったが、最近の筋トレブームのおかげか、入会もしやすくなってきた。年齢層や職業もさまざまで女性も思いのほか多いが、トレーニー全体の志が高くて真面目だ。
ライザップのようなパーソナルに特化したジムもある。ライザップの場合は個人経営ではないが、都心だともう少し小規模な個人経営のパーソナル専門ジムもかなり増えている。ただし金額的には、最初からここに飛び込むのは少々、勇気がいる。見学してトレーナーの話を聞き、気があいそうなら効果はいちばん早く現れるかもしれない。
■④24時間ジムや公共施設のジムは安さ爆発のチェーン居酒屋
最近、24時間使用できて料金も安いというジムもできてきた。自分で最初にプログラムをきちんと作って守れれば、便利だと思う。他に区営や市営など公共施設のジムもある。料金は安いし、フリーウエイトがあればあまり使う人がいないので穴場だ。
予算的にマシンの種類はさほど多くはないが、種目さえ選べば初心者なら十分だ。私は東京なら千駄ヶ谷・東京体育館のジムが安いのに施設が充実していて好きだ。全国に似たような施設はあるはずだ。
還暦までに払った税金の分、せめてこんな施設を利用して取り返そう。
■⑤ホテルジムは会員制バー
ちょっと変わったところではホテルのジムがある。通常は会員制で一般開放していないが宿泊客は使える。だから私は、地方に行くときは必ずジムのあるホテルを選ぶ。マシンが充実しているわけではないが、その地方のトレーナーさんと話すのが楽しい。朝っぱらからバーベルを握るお客さんはあまりいないから、トレーナーさんも珍しがってトレーニング話もはずむ。
実はいちばん好きなのは東京駅近くのパレスホテル東京だ。自宅に泊まれば済むのに、銀座で飲んでわざわざここに泊まるのはジムのため。朝、皇居の緑を見ながらトレッドミルで走れるのはここくらいだ。何よりここの体組成計は私が知る限りどこの機械より体脂肪率を低く表示してくれる。さすが高級ホテル。体組成計まで「おもてなし」。ちなみにここのスパは水がエビアンというのもウリ。
パレスホテル東京ではないが、私が筋トレに凝っているのを知って高級ホテルのジム使用券をバレンタインデーにもらったこともある。これはなかなか洒落たギフトだと感心した。
■筋肉という公平性
ジムには確かにいろいろなタイプがある。高額なところからほぼ無料で使えるところまでさまざまだ。しかし、実はトレーニングという点ではみな同じなのだ。高額なジムが安価なジムよりすぐに筋肥大するわけではない。高額なジムでトレーニングすれば安価なジムより楽なわけでもない。
高級ジムで挙上する20㎏プレートも区立体育館で挙上する20㎏プレートも同じ20㎏なのだ。
後のトレーニング理論で詳しく述べるが、トレーニングとは結局、「その人にとって少しだけキツイ重さ、キツイ回数」の、そのキツさの限界を乗り越えることでしか筋肉は成長しない。50㎏がキツイ人もいれば100㎏がキツイ人もいる。でも各人のキツさのなかで頑張るしかない。
最強のマシン、最新のトレーニング理論、そりゃセールスポイントはいろいろあるだろう。多少の効率の違いも確かにあるかもしれない。が、あなたの体はあなた自身の手でバーベルを上げることでしか変化しない。この意味で筋肉はとても公平だ。
城 アラキ
漫画原作家
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