(※写真はイメージです/PIXTA)

「ホームジム」があると、空いた時間にトレーニング、人の眼も気にせずトレーニング。ジムにいく時間も節約してトレーニング。朝でも夜でも深夜でもトレーニング…。その便利さ故にダメだと気づくといいます。還暦から筋トレを始めた城アラキ氏が著書『負けない筋トレ 還暦から筋トレにハマったら、「肉体」と「人生」が激変した!』(ブックマン社)で解説します。

トレーニングは刺激的でないと続かない

■自体重トレーニングは意外に難しい

 

還暦過ぎた高齢者向けの筋トレの本や雑誌記事で、自体重=自分の体重だけを負荷にしたトレーニングを超初心者にすすめているトレーナーさんがいる。あれは「年寄りならその程度の内容でいい」と舐めているだけだから信じてはいけない。

 

そもそも、筋力はともかく、自体重トレーニングだけで筋肥大したトレーナーなど見たことも聞いたこともない。実は自宅での自体重トレーニングは、若くて時間も金も余裕がない働き盛りが、わずかな空き時間を見つけ地味にガンガンと追い込むためにある。時間はたっぷり小金も少々、という還暦トレーニーには向かない。

 

もちろん還暦トレーニーがやって、効果がないわけではない。眼に見える効果が出るまで続ける気力と忍耐力がないだけだ。年寄りほどトレーニングは刺激的で目新しくないと続かない。

 

そもそも、自体重のトレーニングの方が簡単と思うだろうが、実は意識を集中して狙った筋肉だけを動かすのは意外に難しい。軽い負荷があった方が、かえって楽なのだ。と、これは私の経験。

 

体力の不足は好奇心で補うのである。むろんあなたがリハビリ中とか病院から退院したばかり、あるいは体に不調があるなら別だ。自分も経験があるが、入院していると信じられないほどのスピードで筋肉は落ちていく。歩くだけでも、どれほどキツイ運動になったことか。

 

この段階は過ぎ、日常生活に支障がないレベルまで体力が戻ってからの筋トレである。ではとりあえず、筋トレ用の道具を自宅に揃えるか。いやいや早まってはいけない。そこが後悔の落とし穴。

 

■「ホームジム」と「ホームバー」の欠点

 

私、なんでも理屈と道具から入ると何度も書いた。後悔はしても反省はしないから同じ過ちを繰り返す。筋トレの場合はどうか。これまでに自宅に溜まった筋トレ用具を見てもらえばわかる。

 

1個が90ポンド(約41㎏)のパワーブロック(要は重さが変えられるダンベルだけど、当然、死ぬほど重い!)が1セット合計で82㎏。メディシンボールにバランスボール(部屋をゴロゴロしてホント邪魔)。角度を変えられるベンチ台は150㎏以上耐えられる(雑誌の置き場になっている)。

 

ぶらさがり懸垂スタンドは洗濯物干しに取られたので、ドアの入り口に懸垂バー。ファンクショナル・トレーニング用のTRXも吊り下げている。腹筋用のアブローラーも大小ある。電気でブルブル筋肉を動かすEMSは自転車選手も使うという強力版。加圧トレーニングのベルトももちろん持っている。腕立て伏せ用のプッシュバーは回転式で最強だ(これは真面目にやれば効きそう)。

 

ここにバーベル用のラックと150㎏ほどのプレートセットとシャフトが一本あれば、道具立てとしては完璧。ちょっとしたパーソナルジムが開業できる。さすがにバーベルセットは買わなかったけど。

 

ホームジムがあると便利だと最初は思う。空いた時間にトレーニング、着替えもせずすぐにトレーニング。人の眼も気にせずトレーニング。ジムにいく時間も節約してトレーニング。朝でも夜でも深夜でもトレーニング。便利じゃないか。

 

その便利さ故に実はダメだと後で気づく。本格的なホームジムはあまりおすすめしない。いつか捨てるに困るゴミになる。「ホームジム」と「ホームバー」は似ている。各種リキュールやベースの酒、シェーカーやグラスを揃えているうちはいいが、棚を買い秘蔵のボトルを並べ、そのうちカウンターキット(アメリカから通販で買える)など取り寄せると病膏肓で取り返しがつかない。

 

酒はバーで飲むものなのだ。なぜか。

 

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次ページ本格的なホームジムをすすめない理由

本連載は、城アラキ氏の著書『負けない筋トレ 還暦から筋トレにハマったら、「肉体」と「人生」が激変した!』(ブックマン社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

負けない筋トレ

負けない筋トレ

城 アラキ

ブックマン社

『ソムリエ』『バーテンダー』など、数々のお酒にまつわる傑作漫画の原作を手掛けてきた著者は自他ともに認める酒呑みであり、美食家だ。3日に一度は暴飲暴食。仕事柄、1日の歩数が500歩なんてザラだった。運動もしない日々を…

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