なぜ金融経済でばかりお金が動くのか
■萎縮する日本の実体経済
ここまで何度も触れてきましたが、実体経済は我々の暮らす経済です。モノやサービスが動いて、企業は設備投資したり、人を雇ったり、主婦が消費に励む。それで、子供を学校のほかに塾に通わせたりして、教育を充実させようとする。若い人は将来の見通しが立ったら、結婚したり、子供をつくったり、家を建てたりする。こういうことはすべて実体経済のなかで行われます。だから実体経済は非常に重要です。
しかし、いまの日本では実体経済でお金が使われずに、金融経済でばかりお金が動いています。
例えば「貯蓄に励みなさい」とよく言われますが、これは金融機関(主に銀行ですが)にお金が行くことになります。本来、銀行はこのお金を活用して、融資業務をやるものです。融資をするというのは、例えば企業にお金を貸して、設備投資や雇用増加でさらに実体経済にお金を回していく。
あるいは家計に住宅ローンを貸して、一般家庭が家を建てる。すると住宅産業や電機メーカーなどにお金が行く。こちらも実体経済にお金が回ることになります。こうして景気が活気づくと、多くの人の給料が上がり、さらなる消費が生まれていく……このようなお金の循環になるのが普通です。
ところがいまの日本の金融機関は、預金してもらったお金を資産運用に使ったほうが収益が上がるということで、融資に回しません。いまや銀行は証券部門を持って、そちらで運用したり、国内で効率的な運用先がなかったら、国外にどんどん持っていってしまいます。海外融資をどんどん増やすことで、日本国内の実体経済にお金が回らなくなってきた――これはバブル崩壊以降の話です。
こういうことで実体経済、GDPが萎縮していくわけです。実体経済が萎縮していくと、企業は企業で、国内で商売しても、設備投資しても、人を雇っても全然ダメだという判断をします。見通しがありませんから。ということで企業もますます国外に出て行くことになります。要するに日本経済は自滅している。残念ながらいまはそういう過程をたどっているのだと思います。
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