(※画像はイメージです/PIXTA)

国による少子化対策・子育て支援として「出産育児一時金」の引き上げ、「出産準備金」の支給などが話題になっていますが、それらの一過性の給付以上に重要なのが、母親・父親が子育てをしながら仕事を続けられる環境の整備です。本記事では、経営者・事業主が従業員の出産・育児をサポートする「両立支援等助成金」についてお伝えします。

両立支援等助成金とは

両立支援等助成金は、中小企業事業主が従業員に対し、仕事と出産・育児、介護などとの両立できるように一定のサポートを行った場合に、国から受け取れる助成金です。

 

出産・育児については、以下の2種類があります。

 

・出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)

・育児休業等支援コース

 

なお、対象となる「中小企業事業主」とは、以下の要件をみたす法人・個人事業主です。

 

・小売業・飲食業:資本額等の額が5,000万円以下、または常時雇用する労働者数が50人以下

・サービス業:資本額等の額が5,000万円以下、または常時雇用する労働者数が100人以下

・卸売業:資本額等の額が1億円以下、または常時雇用する労働者数が100人以下

・その他:資本額等の額が3億円以下、または常時雇用する労働者数が300人以下

 

以下、「出生時両立支援コース」「育児休業等支援コース」のそれぞれについて解説します。

 

父親の育児休のサポートに対する「出生時両立支援コース」

出生時両立支援コースは、男性労働者が子の出生直後の時期に育児休業をとれる環境を整えた事業者に支給されるもので、「第1種」と「第2種」があります。

 

第1種:男性労働者の出生時育児休業取得

第2種:男性労働者の育児休業取得率上昇

 

「第2種」は「第1種」の助成金を受給していることが要件となっており、二段構えの構造です。

 

◆第1種(男性労働者の出生時育児休業取得)

第1種は、出生直後の育児休を取得しやすい環境を整え、かつ、実際に従業員に育児休を取得させた場合に受け取れるものです。

 

主な要件は以下の通りです。

 

・育児・介護休業法に定める雇用環境整備の措置を複数行っていること

・育児休業取得者の業務を代替する労働者の、業務見直しにかかわる規定等を策定し、その規定に基づき業務体制の整備をしていること

・男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する連続5日以上の育児休業を取得すること

 

また、以下の場合は加算を受けることができます(代替要員加算)。

 

・男性労働者の育児休業期間中の代替要員を新たに確保したこと

 

助成金の金額は以下の通りです。

 

・育児休業取得:20万円

・代替要員加算:20万円(3人以上は45万円)

 

◆第2種(男性労働者の育児休業取得率上昇)

第2種は、第1種助成金を受給した事業者が、男性労働者の育児給料取得率を3年以内に30%以上上昇させた場合に受け取れるものです。

 

要件は以下の通りです。

 

・育児・介護休業法に定める雇用環境整備の措置を複数行っていること

・育児休業取得者の業務を代替する労働者の、業務見直しにかかわる規定等を策定し、その規定に基づき業務体制の整備をしていること

・第1種の申請をしてから3事業年度以内に、男性労働者の育児休業取得率が30%以上上昇していること。

・育児休業を取得した男性労働者が、第1種申請の対象となる労働者の他に2人以上いること

 

育児休業取得率が30%以上上昇するのにかかった年数が短いほど、多くの額を受け取れます。また、所定の「生産性要件」をみたせば、助成金が増額されます。

 

助成金の金額は以下の通りです。

 

・1年以内に達成した場合:60万円(生産性要件充足で75万円)

・2年以内に達成した場合:40万円(生産性要件充足で65万円)

・3年以内に達成した場合:20万円(生産性要件充足で35万円)

 

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