増加する未婚者…「独身でいる」理由とは?
日本では「未婚者」が増加の一途をたどっている。
『第16回出生動向基本調査』(国立社会保障・人口問題研究所)によると、「いずれ結婚するつもり」と回答した未婚者は、「18~34歳の男性」は81.4%(前回85.7%)、女性は84.3%(前回89.3%)と、いずれも減少。「一生結婚するつもりはない」と回答する未婚者は、2000年代に入ってから増加が続いており、男性が17.3%、女性が14.6%だった(図表1※1)。
※1 対象は18~34歳の未婚者。図中のマーカー上のエラーバーは95%信頼区間を示している。客体数は、第8回(1982)男性(2,732)、女性(2,110)、第9回(1987)男性(3,299)、女性(2,605)、第10回(1992)男性(4,215)、女性(3,647)、第11回(1997)男性(3,982)、女性(3,612)、第 12回(2002)男性(3,897)、女性(3,494)、第13回(2005)男性(3,139)、女性(3,064)、第14回(2010)男性(3,667)、女性(3,406)、第15回(2015)男性(2,705)、女性(2,570)、第16回 (2021)男性(2,033)、女性(2,053)。設問「自分の一生を通じて考えた場合、あなたの結婚に対するお考えは、次のうちどちらですか。」(1. いずれ結婚するつもり、2. 一生結婚するつもりはない)。
なぜ独身なのか。結婚意思のある未婚者に現在独身でいる理由を聞いた結果によると、適齢期である「25〜34歳」は、「適当な相手にまだめぐり会わないから」が最多で、男性43.3%、女性48.1%だった。また「異性とうまくつき合えないから」という回答も2000年以降増えており、同男性で20.0%、女性で18.2%だった。
コロナ禍の昨今は「出会い」そのものが減少傾向だが、恋人や婚約者がいる未婚者に出会いを聞いたところ、2021年より「ネット」が急増していることが判明した(図表2※2)。「出会い方」についても難しい局面を迎えているのかもしれない。
※2 対象は恋人として交際している異性の相手がいる、または婚約者がいる18~34歳の未婚者。客体数は、第15回男性(576)、女性(776)、第16回男性 (428)、女性(571)。 「見合いで」には知り合ったきっかけが「見合いで」と「結婚相談所で」を含む。 第8,9回調査は「アルバイトで」を選択肢に含まない。 「メディアを通じて」は第11回から第15回における「その他」の自由記述のうち、(ウェブ)サイト、インターネットといった内容を抽出したもの。 「ネットで」は第16回における新規の選択肢(「(上記以外で)ネット(インターネット)で」)。回答欄の注に「SNS、ウェブサイト、アプリ等によるやりとりがきっかけで知り合った場合をさします。」と記載されている。 設問:(最も親しい)交際相手とは、いつ頃どのようなきっかけで知り合いましたか。 選択肢:「学校で」「職場や仕事の関係で」「幼なじみ・隣人関係」 「学校以外のサークル活動やクラブ活動・習いごとで」「友人や兄弟姉妹を通じて」 「見合いで(親せき・上役などの紹介も含む)」「結婚相談所で(オンラインを含む)」 「街なかや旅先で」「アルバイトで」「(1~9以外で)ネット(インターネット)で→(具体的に )」 「その他→(具体的に )」【概要版図表2-4 調査別にみた、異性の交際相手と知り合ったきっかけの構成割合(恋人または婚約者がいる未婚者)】
なお、独身生活の利点として挙げられているのが「行動や生き方が自由」だった。こちらは、男性70.6%、女性78.7%との結果で、「家族を養う責任がなく、気楽」や「住宅や環境の選択の幅が広い」を挙げる人も増加している。
さらに、未婚女性が考える「理想ライフコース」は、「出産後も仕事を両立する」が32.3%から34.0%に増加し、本調査では初めて最多となった。一方、再就職や専業主婦志向は減少傾向だが、「そもそも結婚せずに仕事を続ける」、子どもを持たずに共働きをする「DINKs」を志向する人は増加傾向となっている。仕事に重きを置き、結婚を最優先としない女性が増えているということか。
なお、結婚相手に求めるものは、男女とも「人柄」「家事・育児の能力や姿勢」「仕事への理解」で、女性においては「家事・育児の能力や姿勢」「容姿」を求める傾向が強くなっている。
結婚が、女性のキャリア形成の「足かせ」に
結婚のメリットとデメリットを慎重に勘案する人が増えている現状において、結婚に強い魅力を感じない女性が増えているといえる。内閣府男女共同参画局『女性活躍・男女共同参画の現状と課題』では、男女別に見ると、男性では既婚者の方が、女性では未婚者の方が、所得が高い傾向にあり、配偶関係別に見ると、既婚者では男性の方が所得が高い傾向。未婚者では男性の方が所得が高い傾向があるが、所得差は小さい(図表3)。
厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、大卒男性の平均月収(きまって支給する現金給与額)は42万5,800円、手取りにすると31万~32万円。それに対し女性は31万7,900円、手取りにすると24万~25万円となっている。
年齢による推移を見ると、男性は年齢が上がるにつれて給与は上昇し、50代で50万円超えであり、増加率は各年代110%前後。女性も年齢共に給与はあがり、50代前半で43万円ほどとピークになるが、各年代の増加率は男性より低く、とくに30代は男性と比べて10ポイント近くの差が開いている。
大卒会社員年令/男女別「月収」の推移
20~24歳:255,100 円(ー) / 245,700 円(ー)
25~29歳:307,400 円(120.5%) / 280,400 円(114.1%)
30~34歳:358,000 円(116.5%) / 304,000 円(108.4%)
35~39歳:411,700 円(115.0%) / 327,000 円(107.6%)
40~44歳:446,200 円(108.4%) / 359,200 円(109.8%)
45~49歳:483,500 円(108.4%) / 374,900 円(104.4%)
50~54歳:533,200 円(110.3%) / 435,800 円(116.2%)
55~59歳:533,200 円(100.0%) / 421,200 円(96.6%)
出所:厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より
※数値は左より大卒男性、大卒女性の「きまって支給する現金給与額」、(かっこ)内は増加率
「結婚しても仕事を続ける」ことが一般的になりつつあるが、実際には結婚を機にキャリアを停滞させてしまう女性が多いと推察できる。
結婚すれば、男性同様に働いて家計を維持しないと、将来設計が立たない可能性が高く、なおかつ、家事負担が女性に偏る可能性がぬぐい切れず、そのなかで子どもを産み、育て、時に自分の親や配偶者の親の介護も行い、なおかつ夫の都合でキャリアが途絶える・思うように形成ができない可能性があるとなれば「結婚は足かせ」と考える女性が増えても仕方ないだろう。非婚化の進展と、それに伴う少子化や経済成長の鈍化も懸念されるこの状況からは、明るい未来は見えてこない。
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