※画像はイメージです/PIXTA

親の会社を継ぐ場合、社内や取引先など周囲の納得を得やすいでしょう。自分の方針に合わせた経営ができるのも魅力です。ただしデメリットもあります。メリットとデメリットを比較し、適切に判断しましょう。

そもそも「親族内承継」とは

親の会社を継ぐのは親族内承継の一つです。長年親の仕事を見ているからといって、すぐに承継できるわけではありません。時間をかけて入念に準備することで、スムーズに承継できます。

 

親族内の1人または複数人への事業承継

親族内承継は親族の誰か1人、もしくは複数人へ事業を承継することです。複数人で承継するには、会社を分けて引き継ぐのが一般的です。たとえば事業AとBで会社を分け、子ども2人がそれぞれ引き継ぐケースがあります。

 

後継者は『経営権』を引き継ぎます。具体的には機械設備や店舗などの有形資産のほか、従業員との雇用契約、経営ノウハウ、販路などの無形資産も含む、経営に必要なあらゆる資産です。

 

中でも株式の承継は、会社を経営する上で欠かせません。会社にとって重要な事項は、株主総会の決議が必要です。後継者が経営者となった場合、決議に必要な2/3以上の議決権を持てるよう、株式を保有するのが目安です。

 

親の会社を継ぐのに適した時期は?

『中小企業白書』によると、会社を継ぐのに適した時期として、後継者である子どもが回答したのは『40~49歳』が最多です。親の会社である程度の経験を積み、社内の状況も把握できる年齢といえるでしょう。

 

体力や気力と経験値とのバランスが取れた年代ともいえるかもしれません。一方、経営者が後継者について考え始めるのは『60歳』が目安といわれています。60歳頃から承継を意識した教育を始め、約10年経過後に引き継ぐと、子どもが40代というケースが多いのではないでしょうか。

 

早めに準備を進める

『事業承継税制』の特例措置を利用すると、事業承継に関わる贈与税や相続税が10年間猶予されます。さらに後継者の死亡といった条件を満たすと、納付が免除される仕組みです。活用することで後継者の負担を軽減できます。

 

ただしこの特例措置は『2027年12月31日』までが適用期限と定められている制度です。一方、事業承継は一朝一夕に終えられるものではありません。後継者への事業承継には、5年以上かかるケースもあります。株式移転・事業用の財産移転・社内への周知・教育・経営権の移譲まで、多岐にわたるプロセスが必要です。適用を受け最小限の負担で事業承継をするためには、早めに準備を進めましょう。

 

次ページ「親の会社を継ぐこと」と「相続」の関係

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。

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