「価格」でなく「見積の速さ」で元請へアピール
しかしA社は、社内に業務統合システムを設置し、現地調査員にシステムと連動した外部機器(iPadなど)を配布していました。調査員が現地の情報を、ペーパーではなく外部機器を通じてシステムに登録するような仕組みにしたのです。
外部機器に入力すると、その入力情報はすぐにシステムにも反映されます。すると、調査員がまだ現地にいるのにもかかわらず、別社員が入力情報を見ながら見積に必要な「商品選定を同時に進めることができる」ようになります。
場合によっては、調査開始からわずか2時間後には、見積を元請に届けるという離れ業もできるようになるわけです。調査開始からわずか2時間程度で見積を届けることができる……このスピード感は、元請からすると、大変なインパクトを持って受け止められるのではないでしょうか。なにせ、他社と比べて2~3日の違いがあるのですから。当然、元請も早く決断できるということで、他社に先駆けて正式発注をかける可能性も飛躍的に高まります。
エアコン自体はメーカーが同じならば商品による優劣はほぼありません。工事の技術にしても、どの下請け企業も一定以上の水準の工事ができるでしょうから、横並びといってもいいでしょう。そうなると、相見積をとっている下請け数社が、元請にアピールする決め手は必然的に価格になり、いわゆる値引き合戦になりやすいのが世の常でした。
もっとも、価格も定価が決まっていますので、メーカーが卸す価格も極端には変わらないはずです。ましてや自社の利益を削りに削るような見積ばかり出していては、何より自社全体が疲弊してしまいます。
つまり、今まで、差別化をする決め手が欠けていたわけです。そこにA社は、「見積のスピード感」という新たな武器をもって、他社との差別化を見事にはかることができたのでした。
【業務統合システム導入で生まれる「便利」】
・自社の格納データをすべて整理整頓し、いつでもだれでも引き出して応用できる
・案件事例が自動的に蓄積・整理され、融資関連の資料を即座に作ることができる