(画像はイメージです/PIXTA)

離婚の際に持ち家・預貯金・車などの財産を夫婦で分け合う財産分与。しかし対象となる財産の隠匿や、対象となる財産の分け方について意見が合わないなど、トラブルに発展しやすい問題のひとつです。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、婚姻前に所有していた財産の財産分与について春田藤麿弁護士に解説していただきました。

上場・売却予定の自社株式。財産分与の対象になる?

相談者の太郎さん(男性・仮名)は、自身の会社の株式を数年以内に売却もしくは上場させる予定になっています。

 

現在太郎さんには婚約者がいますが、もし離婚という事になれば結婚前からもっている資産(自社の株式)が配分されることになるのか疑問に思い、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点ついて相談しました。

 

  1. 結婚前から所有している太郎さんの会社の株式は、財産分与の対象になるのか。
  2. 事前に婚前契約などを結ぶことで、株式などの財産を法的に共有財産とみなされないようにすることは可能か。

原則は分与の必要はないが、念のために婚前契約を

まず、太郎さんが結婚前から所有している株式自体は、財産分与の対象にはなりません。なぜなら、財産分与の対象となるのは、結婚後に太郎さんが取得した財産だからです。

 

もっとも、株式自体は財産分与の対象とはならなくとも、結婚後に株式の価値が増加した場合にはその増加した価値について財産分与の対象となります。

 

例えば、株式の時価総額が結婚時には1000万円であったものが離婚時には1億1000万円になっていた場合、その増加額1億円が財産分与の対象となります。必ずしもこの1億円の5割が妻への財産分与額になるとは限りませんが、3割ほどは財産分与額となる可能性があります。

 

また、そもそも当該株式が婚姻前に得たものか否かが争点になることもありますので、所有している株式について財産分与の対象から除外したい場合には、結婚前に婚前契約を結ぶことが必要です。婚前契約では、太郎さんが所有している株式は財産分与の対象外であることを確認するとともに、その価値の増加分も財産分与の対象外であることを定めることができます。

 

これによって、財産分与において太郎さんの株式やその価値の増加分が対象とされることを回避することができます。

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