(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数 16,587.69 pt (+1.21%)
中国本土株指数 5,629.30 pt (+1.23%)
レッドチップ指数 3,298.10 pt (+1.05%)
売買代金1,019億4百万HK$(前日849億9万HK$)

コアCPIが前年同月比で上昇。40年ぶりの伸び

市場が注目していた米消費者物価指数CPI(9月) が発表された。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIが前年同月比で6.6%上昇し、1982年以来40年ぶりの伸びとなった。

 

マーケットの初期の反応は、予想通りインフレが改善しないことへの失望だった。S&P500は寄り付き後に、前日比で2%強安と年初来安値を更新した。しかし、その後は、買い戻しの動きが強まった。金融市場はCPIなどインフレ統計は改善しないことを織り込んできており、Sell Rumer, Buy Factの形になった。

 

NYダウ平均は日中安値から1,400ポイント戻した。過去30年でも稀にみる極端な動きとなり、結局、米主要3株価指数は大幅高で引けた。

 

これで、FRBが重要視する物価と雇用の最新データは示された。11月のFOMCでも、幅を伴った利上げを実施すると予想することは不変であろう。金融当局者がインフレを抑制する姿勢は明確であり、金融引き締めの決意を表明していることは事実ではあるが、金利がどこまで上昇するか不明なため、金融市場は安定を欠く展開が続くだろう。

中国物価統計が市場予想を下回り、上海総合指数が上昇

14日の香港市場は米株高をフォローした買いが先行し、ハンセン指数は7日ぶりの反発となった。連日、終値ベースで約11年ぶりの安値を更新していただけにサポートラインとして意識される17,000ポイントを回復する場面もみられた。

 

しかし、午後は一転して上げ幅を縮小し、同指数は500ポイント超下げ、前日比1.21%高で引けた。アジア市場の主要株と比較しても戻りは鈍い動きと、週末に控える中国共産党大会を前に香港市場の警戒感を残す結果となった。

 

主要銘柄が堅調の動きとなり、バイオ医薬品開発の薬明生物技術(2269)は8.5%高、HSBC(0005)は4.6%高、フードデリバリーの美団(3690)は2.0%高で引けた。一方、香港取引所は午後に一転して下げ幅を拡大し前日比4.5%安で引けた。

 

中国本土株は上海総合指数は前日比1.84%高の3,071.99、CSI300指数は同1.57%高の3,842.47で引けた。取引時間中に発表された中国物価統計が市場予想を下回ったことで足元のインフレ高進懸念が和らいだことが好感された。

 

13日発表された9月の消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)はともに市場予想値を下回った。

 

9月のCPIは前年比で2.8%上昇と2020年4月以来の高い伸びとなったが、変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは前月の0.8%上昇から鈍化し、前年比0.6%にとどまった。都市封鎖による消費への影響が懸念された格好となった。

 

PPIについては前年比0.9%上昇と、8月の2.3%から低下し、2021年1月以来の低い伸びと市場予想を下回った。グローバルには、主要中銀が相次いで利上げを実施する中で、中国のインフレ率上昇は限定的である。

 

9月は継続して一部都市で厳格な行動抑制策を採ったこともが消費を圧迫した。また、経済活動が停滞する中で、中国はデフレリスクが高まっていることも示唆される。

 

中国人民銀行は今年に入り、経済の活性化と不動産危機の回避のため、主要金利の引き下げを実施しているが、明確な改善状況がみられないのが現状である。今回の物価統計を受けて、さらなる措置に踏み切るかどうかが注目とされる。
 

(消費者物価指数)

 

(生産者物価指数)

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

 

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