ハンセン指数 16,389.11 pt (▲1.87%)
中国本土株指数 5,560.80 pt (▲2.31%)
レッドチップ指数 3,263.70 pt (▲0.48%)
売買代金849億9百万HK$(前日1,128億0万HK$)
今夜発表のコアCPIは3月以来の高水準予想が根強い
今夜の米消費者物価指数(CPI)発表を控え、マーケットは最大限の警戒が払われている。足元のインフレ率は歯止めが効かない水準であり、9月CPIの市場予想は前年比8.1%、前月比ベースで0.2%増と改善傾向はみられない。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは前年比ベースで6.5%の上昇が見込まれ、今年3月につけた40年ぶりの高水準に再び戻ると予想されている。
前回8月の発表の際には、CPIがともに市場予想値を超えたことでS&P500は前日比4.32%安、9月月間のパフォーマンスは今年最大の下落となった。
経済指標を巡って市場のボラティリティーは高まりつつあり、7月分のCPIを除くと、S&P500は予想を上回る消費者物価データが公表される度に下落しており、今夜は最悪のシナリオも示唆される。
先週の米雇用統計の結果からも、雇用環境は底堅く米金融当局のハト派転換の可能性が排除された。昨日発表された9月20、21日のFOMCの議事録でも、インフレ鈍化のペースが想定より遅いとの声が多数出ており、急ピッチの利上げを続ける考えが強い。
今回の結果次第では短期金利の最高水準(ターミナルレート)が年末までに切りあがる可能性もあり、そうなれば株式市場にとってさらに追い打ちをかけることになるだろう。
香港ハンセン指数は終値ベースで11年ぶりの安値更新
香港市場の弱さが際立つ。13日は連日でアジア市場をアンダーパフォームし終日、下値を探る展開が続く。今夜の結果次第では更なる売り圧力につながる可能性もあり、香港市場から資金を手放す動きが顕著に見て取れる。
ハンセン指数は6営業日続落し安値引け、下落率は週間で7.62%に達した。終値ベースでは既に11年ぶりの安値を3日連続で更新しており、2011年10月4日に付けた安値まで200ポイントに迫った。この水準を抜けると、2009年のリーマンショック以来の安値となる。
特にハイテク株で構成されるハンセンテック指数の下げ幅が止まる兆しをみせず6日続落、週間で10.79%安となった。統計開始来の安値を連日更新したほか、年初からの下落率が44%に達した。同指数は21年に付けた高値からは70%強下落とITネットやハイテク株に弱さが顕著にみられた。
そのほか、大手銀が相次いで香港に上場する中国不動産デベロッパーの目標株価を引き下げたことも重石となった。
不動産株で構成されるハンセン本土不動産指数は前日比4.56%下落。上海の不動産開発大手の旭輝控股集団(0884)は13日、オフショア債の利払いおよび分割償還が期日に実行できなかったと明らかにしたことで同社株は10.3%安、7営業日で45.9%安と不動産デベロッパーの流動性リスクの警戒も高まっている。
主要銘柄は全面安となり、大手カジノの金沙中国(1928)は7.5%安、Eコマースの京東集団(9618)は4.7%安、香港取引所(0388)は4.3%安、アリババ(9988)、フードデリバリーの美団(3690)はそろって2.9%安となった。
ハンセン指数の過去5年のパフォーマンスはマイナス40%を超えた。コロナ水準をゆうに超え、米S&P500と比較すると歴然とした差がある。このまま下落基調が続くのだろうか。
上海では前日に新規感染者数が約3ヵ月ぶりに高水準
中国本土株市場は上海総合指数は前日比0.30%安の3,016.36、CSI300指数は0.84%安の3,752.67で引けた。上海では前日に新規感染者数が約3ヵ月ぶりに高水準となり感染再拡大が意識された。
そのほか、明日に控える中国の物価統計と貿易統計を前に、手控えムードが強まった。午後は崩れる動きもみられたが、中国当局の景気期待から香港市場と比較し堅調の動となり、プラス圏で推移する場面もみられた。
長谷川 建一
Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>