1ドル=148.86円…約32年ぶりの安値を先週末に記録。中国共産党大会が開幕し、景気対策への期待感からアジア市場は続伸

1ドル=148.86円…約32年ぶりの安値を先週末に記録。中国共産党大会が開幕し、景気対策への期待感からアジア市場は続伸
(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数 16,612.90 pt (+0.15%)
中国本土株指数 5,633.23 pt (+0.07%)
レッドチップ指数 3,286.50 pt (▲0.35%)
売買代金957億6百万HK$(前日1,019億4万HK$)

バイデン米大統領はドル高容認の姿勢

米連邦準備理事会(FRB)はインフレ抑制のため、積極的な金融引き締め策を続けるとの見方が一段と強まっている。金融引締めスタンスはドル円でのドルの上昇を支持し、前週末には1ドル=148.86円と約32年ぶりの安値を付けた。

 

週明けはドルの先高観と円買い介入への警戒感がくすぶり、小幅に下落するも、なお高水準で一進一退の動きが続く。

 

バイデン米大統領は15日、「ドルの強さについて懸念していない」と述べ、ドル高容認の姿勢を示した。米経済については依然、「国内情勢はものすごく強く底堅い」ことを強調し、米経済の力強さが一層目立つ格好となった。

 

今月、発表された米雇用統計をはじめ経済指標の結果からも明らかであり、FRBのタカ派姿勢は不変である。インフレ抑制を果たすまでは、積極的な利上げにを実施し、金融引締めを続けると見込むしかない状況は当分続く可能性が高い。今後も、ドル高は続き、150円を超える展開も有り得ると考える。

習近平国家主席は「ゼロコロナ」政策の維持を示唆

週明けの株式市場は米国の金融引き締めを不安視した売りが先行し、アジア市場は全面安で取引が開始された。前週末の米株安が嫌気されたほか、中国のゼロコロナ政策の影響で経済への警戒感が相場の重しとなった。

 

16日、第20回中国共産党大会が開幕されたが、習近平国家主席は、その厳格さから物議を醸している「ゼロコロナ」政策を直ちに緩和するつもりはないことを示唆した。中国経済の先行きはなお不透明な状態が続き、今回の演説の中では具体的な展望や変化の兆しは示されなかったことも期待薄となった印象だ。

 

17日の中国・香港市場は明日に控える国内総生産(GDP)や小売売上高などの主要経済指標の発表を前に様子見ムードが強い中、両市場は終盤にプラス圏に浮上し、ハンセン指数は前日比0.15%高と小幅に続伸した。中国当局の景気テコ入れスタンスが相場を支える展開となった。

 

ハンセン指数では、江蘇省拠点の翰森製薬(3692)が13.2%高と急騰したほか、光学部品メーカーの舜宇光学科技(2382)が3.9%高、不動産管理サービスの碧桂園服務(6098)が3.8%高と上げが目立った。

 

金融セクターも買い戻され、商業銀行の招商銀行(3968)は2.3%高、香港取引所(0388)は2.2%高、中国四台銀行の中国工商銀行(1398)は1.6%高、中国銀行(3988)は1.5%高、HSBC(0005)は1.5%高となった。

 

一方、インターネット検索の百度(9888)は5.3%安と売られたほか、自動車関連が大幅安。EVメーカーのNIO(9866)は5.1%安、小鵬汽車(9868)は4.0%安、自動車メーカーの理想汽車(2015)は4.0%安だった。

 

本土株指数は上海総合指数は前日比0.42%高の3,084.94、CSI300指数は0.10%高の3,846.41と続伸し、両指数は約3週間ぶりの高値で引けた。中国の景気対策の期待が高まり指数を押し上げたほか、政策の恩恵を受けそうなハイテク株や軍需関連が物色された。
 

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

 

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