(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数 17,740.05 pt (▲1.51%)
中国本土株指数 6,074.65 pt (▲1.79%)
レッドチップ指数 3,406.29 pt (▲1.48%)
売買代金570億0百万HK$(前日625億0万HK$)

米国は利上げ姿勢の継続・失業率さらなる低迷の予感

金融市場は今夜発表される米雇用統計を控えて、ポジション調整からの警戒売りが目立った。ただ、出来高では年初来最低を連日記録し、動意が薄かったというべきだろう。

 

雇用統計は、米雇用市場の堅調さを示唆し、米FRBが積極的な利上げ方針を継続すると想定している。9月の非農業部門雇用者数の予想は25.0万増と前月の31.5万人増から低下する予想だが、パンデミック前の水準からは上ぶれた水準である。失業率は3.7%の予想で、今年4月以来維持している約50年ぶりの低水準を保つと予想する。

 

6日はFRB首脳の発言が再度目を引いた。シカゴ地区連銀のエバンス総裁は、政策金利であるFF金利の目標は、2023年春には4.5%-4.75%に達すると述べた。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、FRBが利上げの手を緩めるまでには「程遠い」状況と発言するなど、積極的な利上げの構えは変わらない。

 

市場は今年の金利目標を残り125ベーシスポイント引き上げの4.5%、23年には25bpsの利下げ、24年は少なくとも2回の引き下げを織り込み始めた。

 

しかし、どこまで金利を上昇させればインフレが抑制できるのかは、難しい問題であり、今回の利上げサイクルでの短期金利の最高水準は、依然として見えていない。

 

来週発表される9月の米消費者物価指数にも注目が集まる。仮に、インフレ率がピークアウトする兆候がみられれば、マーケットにとっては一息つける材料となるだろう。

香港は自動車株が相場全体を押し下げる展開

7日の香港市場は、ハンセン指数が寄り付きでサポートラインとなる18,000ポイント割った後、下げ幅を広げ前日比1.51%安と続落した。出来高ベースは570億香港ドルと連日で今年最低の水準を記録、様子見ムードが強く閑散相場となった。

 

ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は大きくアンダーパフォームし、前日比3.30%安と売り優勢の相場となった。前日に続き自動車セクターが大幅安、相場全体を押し下げた。自動車メーカーの理想汽車(2015)は14.7%安、新興EVメーカーのNIO(9866)は10.4%安、小鵬汽車(9868)は6.0%安、長城汽車(2333)は5.7%安だった。

 

不動産で構成されるハンセン本土不動産指数は3.95%安と急落。不動産開発の龍湖集團(0960)は8.9%安、中国不動産開発大手の碧桂園(2007)6.8%安、碧桂園服務(6098)は3.4%安と下げた。

 

一方、カジノ関連株は逆行高となった。大手カジノの金沙中国(1928)、新濠国際発展(0200)はそれぞれ1.9%高、高永利澳門(1128)1.8%高だった。中国の国慶節連休の中、マカオを訪れた観光客が2万5,829人に達したことが好感された。

 

中国本土の金融市場は国慶節の祝日に伴い、引き続き休場、来週月曜からの取引き開始となる。
 

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

 

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