(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数 18,012.15 pt (▲0.42%)
中国本土株指数 6,185.58 pt (▲0.63%)
レッドチップ指数 3,457.41 pt (▲0.55%)
売買代金625億0百万HK$(前日1,054億7万HK$)

米国の利上げ姿勢の今後に、市場は期待と不安が混在

前日の米国債券市場は債券価格が下落(利回りは上昇)、マーケットでは再び米FRBの積極的な利上げスタンスが続くことへの懸念が広がった。

 

政策金利に敏感な米国2年債利回りは一時4.2%台まで上昇、マーケットでは期待と不安が入り混じった状況が続く。

 

金曜の米雇用統計を前に、昨夜発表された9月のADP雇用統計レポートでは、労働需要が引き続き強いことが示唆された。

 

米ISMサービス業PMIも堅調だったことから、金融引き締めスタンスが変わることはないとの見方に傾いた。足元、米国経済が減速し、雇用鈍化がFRBの利上げ判断を圧迫して、利上げ幅が小さくなるとの連想は出ては消えている。

 

前日にも指摘したが、今後直ぐに、利上げペースを弱めるほど経済が失速していることを示す材料が出るとは予想し難い。

 

市場は依然として今年の金利目標を残り125ベーシスポイント引き上げの4.5%、23年には25bpsの利下げ、24年は少なくとも2回の引き下げとの見方が強い。

 

サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は雇用市場や経済に対象なり弱い兆候が出てきたときでも、インフレ抑制のためには躊躇なく利上げを実施すべきだと述べた。タカ派の姿勢はFRB首脳から引き続きうかがえる。来週、9月の米消費者物価統計の発表を控え、物価動向を見極めたいとする参加者は多い。

香港は前日の大幅高による利益確定売りで反落

6日の香港市場は前日の大幅高のあと、続く材料もなく反落した。ハンセン指数は前日比0.42%安で引けた。同指数は前日に5.9%高と大幅高だったこともあり、利益確定売りから上値が重い展開となった。

 

ただ、18,000ptは底堅い動きとなって、下値サポートラインとなるかどうか明日の動きに注目であろう。出来高ベースは625億香港ドルと今年最低の水準となった。

 

香港に上場する自動車メーカーが大幅安。大手EVメーカーのテスラ(TSLA)が2022年度第3四半期の生産台数が過去最多を記録も、市場予想には及ばなかったことが嫌気され売られたことで、EV販売の競争激化への懸念が高まった。

 

新興EVメーカーのNIO(9866)は6.6%安、自動車メーカーの小鵬汽車(9868)は5.1%安、吉利汽車(0175)は3.8%安だった。

 

前日大幅高となった主要銘柄も利益確定売りに押され、Eコマースの京東集団(9618)は2.9%安、自動車・電池メーカーの比亜迪(1211)は2.2%安、Eコマース大手のアリババ(9988)は1.2%安と下げた。

 

一方で、旅行関連株は堅調だった。中国国際航空(0753)は6.9%高、中国南方航空(1055)は6.2%高、中国東方航空 (0670)は5.7%高、キャセイパシフィック(0293)は3.4%高で引けた。OPECプラスが11月に日量200万バレルの減産を決めたことでエネルギー株も反発。石油販売の中国海洋石油(0883)は1.2%高、ペトロチャイナ(0857)は反発した。

 

中国本土の金融市場は国慶節の祝日に伴い、引き続き休場となる。為替市場では、対オフショア人民元が反発し、一時1ドル=7.0元前半まで値を戻した。先週末に、2008年以来の元安水準を付けたが、その後は、回復の動きにある。休場明けの株式市場は、落ち着きを取り戻すことが期待される。
 

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

 

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