(※写真はイメージです/PIXTA)

相続が紛争に発展するケースの大半が、「うちは揉めないから何もしなくても大丈夫!」と言っていたご家庭であるという真実をご存じでしょうか。ここでは、「揉めないから大丈夫!」と思っていたご家庭が、泥沼の紛争となってしまったケースをご紹介させていただきます。揉めないためのポイントをおさえていただき、円満で幸せな相続を実現しましょう。

「兄弟2人、財産は自宅と預貯金のみ」の相続で…

【登場人物:太郎さん一家】

 

太郎さんの生前は、一夫さんと一子さんは特に仲が悪いわけではなく、お盆とお正月は、太郎さんを囲んで食事をするなど良好な関係を保っていました。このような様子を見ていた太郎さんは、もし自分が亡くなっても、財産もあまりないし、揉めないだろうと思い、生前対策などは何もしていませんでした。

 

令和3(2021)年1月1日に太郎さんが亡くなりました。太郎さんの相続財産は、自宅不動産3000万円預貯金1000万円でした。

 

[図表1]太郎さん一家の相続

 

一夫さんは、太郎さんと同居していたため、当然自宅不動産を相続すると思っていたので、四十九日が終わった後、一子さんに、自宅不動産は一夫さんが相続して、預貯金は一夫さんと一子さんとで分けるということで良いかと、一子さんに確認しました。

 

自宅(土地・建物)3000万円 → 一夫さんが取得

 

預貯金1000万円 → 一夫さん・一子さんで分ける

 

一子さんは、一夫さんの提案を持ち帰り、検討することにしましたが、自分には法定相続分を取得する権利があることを知りました。

 

【法定相続人・法定相続分とは】

 

法定相続人とは、民法で定められた相続人のことをいいます。具体的には、有効な遺言書や死因贈与契約が無い場合に、被相続人の財産を承継する権利を有する人になります。配偶者は常に法定相続人となり、その他の相続人は第1順位→第2順位→第3順位の順番で法定相続人となります。

 

第1順位:子ども(子どもがすでに亡くなっている場合は、孫)

 

第2順位:父母(父及び母がすでに亡くなっている場合は、祖父母)

 

第3順位:兄弟姉妹(兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、甥・姪)

 

ポイント①:養子は、第1順位の「子ども」に該当します。

 

ポイント②:相続人が、被相続人が亡くなる前に死亡しているなどにより相続権を失った場合、相続権を失った者の子どもが代わりに法定相続人の地位を取得します。これを代襲相続といいます。

 

ポイント③:第1順位の法定相続人がいない、または全員相続放棄した場合、第2順位の法定相続人が相続人となります。第1順位及び第2順位の法定相続人がいない、または全員相続放棄した場合、第3順位の法定相続人が相続人となります。そのため、前順位の法定相続人がいたとしても、前順位の相続人が全員相続放棄をすれば、後順位の法定相続人が相続人になりますので、少し注意が必要です。

 

[図表2]法定相続人と法定相続分

 

[図表3]法定相続人と法定相続分

 

法定相続分とは、民法で定められた、各法定相続人の相続割合になります。図表2、3にて、各法定相続人の法定相続分を確認してみてください。

次ページ絶縁状態になることも…「代償金」をめぐる争い

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『そうだったのか! 相続のトリセツ』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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